姉妹日記 『もう一つの姉妹の形』 第3話
[bottom]
null

 お兄ちゃんが私以外の女とデートするとお姉ちゃんから聞いたとき目の前が真っ暗になった
 大丈夫、お兄ちゃんが泥棒猫なんかに惑わされたりしない、
 強引に迫られて仕方なくデートするんだ
 そうだって自分に言い聞かせても、心の中の嫉妬心には勝てず
 私はお兄ちゃんを尾行することにした
 なにさ、腕なんか組んじゃったりして・・・・
 そんなことしたってお兄ちゃんは・・・・・
 頬を染めるお兄ちゃんを確認し私は足元をぐらつかせ倒れそうになってしまった
 けど、こんなところでよろめいてなんていられない
 私は脚を踏ん張って気合を入れ尾行を再開した・・・・
 あ〜もう!イライラする・・・・
 なんでそんなにくっ付くの!
 お兄ちゃんもデレデレして、だらしない・・・・
 でも・・・・
 私は改めて、お兄ちゃんの隣で満面に笑む南条秋乃を見つめた
 引き締まった身体、線もすごく細い
 俗に言うモデル体系っていうのかな?
 胸も・・・・あれ?前に学校で見たときはもう少し大きかったような・・・・
 そんなことどうでもいいか・・・・
 顔も人形のようでまるで人が作ったかのように整っている
 それに加えあのプロポーション・・・・
 私は自分の身体を見下ろしてため息をついた・・・・

 ようやく私の地獄のような時間は終わりを迎えようとしていた・・・・
 二人は手を振り合って別々の道を歩みだした・・・・
 私はお兄ちゃんの方ではなく南条秋乃の方を尾行した・・・・
 どうしても南条秋乃の弱みを握りたかったから・・・・
 でも、私の期待とは裏腹に何事もなく家まで来てしまった
 噂どおり誰とでも寝る女だったら・・・・男の一人や二人呼び出すと思ったけど
 どうやら噂はただの噂でしかなかったらしい
 落胆する私の少し先で南条秋乃が叫んだ
「ただいま〜」
 声と共にドアが開き誰かが出てきた
 その人物はそわそわしながら南条秋乃に近づき何事かを聞いている・・・・
「え・・・・・」
 その人物の姿を確認した私は驚愕し、目を丸くし食い入るように先の人物を見つめた
「ただいま、秋乃・・・・」
「お、お帰り・・・・それで・・・・どうだった春乃?」
「ああ、もうばっちし・・・・うまくやったよ」
 春乃?初めて聞く名に私はまた驚いた・・・・
 双子・・・・?
 同じ髪型・・・・同じ顔
 ただ違うといえるのは胸の大きさだけ
 さっき思った違和感は勘違いじゃなかったらしい
 南条秋乃の方が少し大きな胸をしている・・・・
 でも、なんで・・・・?
 小さな疑問が浮かんだけど・・・・
 私は当初の目的の弱みを見つけ、拳を握り震わせ歓喜した
 やった!やったよ!お兄ちゃん・・・・私
 ついにやったよ!あの女お兄ちゃんを騙してたんだよ!
 ふふ・・・・やったよ!
 これで、これで・・・・・

 翌日・・・・私は南条秋乃を屋上に呼び出した
「あの・・・・涼さんの、妹の冬香さんですよね?初めまして!?」
 まったく、どうして何食わぬ顔していられるのかな?
 お兄ちゃんを騙してるっていうのに
「それで御用とはなんですか?」
 こんな女と話すなんて時間の無駄、だから簡潔に言った
「あんた、お兄ちゃんを騙してるでしょ?」
「え・・・・・」
 あ、動揺した・・・・
 南条秋乃は罰の悪そうにたじろぐぎ瞳を揺らめかせた
「騙してるって・・・・なにを?」
「言い逃れするの?まぁ、いいわ・・・・これ以上お兄ちゃんに近づくんならそのこと
 ・・・・バラすから」
 私は格闘技で勝利を収めた勝者のような気分を味わいながら微笑み
 敗者を見下した
「じゃあね・・・・南条秋乃さん」

[top] [Back][list][Next: 姉妹日記 『もう一つの姉妹の形』 第4話]


姉妹日記 『もう一つの姉妹の形』 第3話 inserted by FC2 system