***** 第3回
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翌朝
鳥のさえずり……なんて優雅なものは無く、目覚ましも何もなしに起きる。もう習慣付いた癖だ。
しっかし昨日は久しぶりに激しかったな。でもまだ彼女は壊れて無いらしい。
うんうん、長持ちすると探す手間が省けて良いな。
作ってもらったバタートーストを二人で食べ、学校に行くまでぼーっとする。
今日はいつになく快晴だ。こういう日は気分も良いし、性欲も疼かない。
「蒼也様?」
「ん?」
「その…昨日言った事…お願いします…変わりの女の人を探さないって…」
ああ、それでなんだかテンションが低かったのか。いかんな。治さないと。奉仕のレベルが下がる。
「ああ、今日は気分が良いからな。探さないどくよ。ただ……」
そういって彼女の耳元に寄り添い、そっと呟く。
「これを一日中つけてられたら、ね?」
彼女の手にローターを渡す。一瞬戸惑った顔をするが、また笑顔になり、
「はい!私、頑張ります。」
とうれしい事を言ってくれる。まあこの調子だとちゃんと就けるだろうな。
俺は安心して家をでて、学校へと向かった。それを見送る彼女……いいねぇ。

「うぉーっす。」
目の前に見えるは紅。あーあ、なんだよ。
「スカートちがうん?」
「あたりまえでしょ。なんで私がスカートはかなくちゃいけないのよ?」
「はん、愚問を。なんのためにスカートがあると思う?」
「なんのために?」
「もち、めくるためだ!!」
「そこまでいいきれるこんじょうが凄いわよ。ま、私は絶対に穿かないけどね、」
相変わらずプライドが高いなぁ。つーか高過ぎ。そんなんだから弾かれてんだよね。
依然、紅のフラグは立つ気配も無く、学校へとむかう。
「む?」
前方に再度美少女を発見!!追撃に参ります、隊長!陽の降り注ぐ炎天下の中、地面を駆け抜ける。
そしてまた距離5のところで腕を振り上げる!
「ヒィヤッホォーウ!!ウゴォ!?」
が、今日は違った!俺のダッシュに合わせるように、その勢いを利用したカウンターが入っていた。
しかも喉に!グーパンチで!!
「おおぅ…ぐぉ……えっと…き、今日はつよひね?」
「あなた、昨日空のスカートめくったんですって?」
「…そのしゃべり方ってことは……海ちゃん…かな?」

海ちゃん。空ちゃんの双子の姉だ。この娘がいるせいで妹の空ちゃんには
なかなか手を出せないでいる。まるで保護者的存在だ。
「はひ、空ちゃんの兎パンツは拝ませてもらいましたよ…」
「はぁ、空のことだからみられても怒らなかったんでしょうね。」
さすが双子様。わかっていらっしゃる。
「いい?空をあんたのてごめになんかさせないからね!」
「っはは、ご冗談を。おいどんはそんな鬼畜ではないでごわすよ。」
「…どうだか……」
「ところでその話題の中心、空ちゃんは?」
「今日は晴れだからこれないわよ。」
あー、そうだね。こんな晴天ならこれないはずだ。もったいない、こんな日に外に出れないだなんて。
「さってと、昼飯まで寝よう。」
「私も、本でも読んでようかしら……」
「私も眠いわ…」
「おわ!?い、いつの間に、紅。」
「へぇ…ずっと後ろにいたってのに……私にも気付かないぐらい海ちゃんとね
会話が楽しかったのかなぁ?」
「め、めっそうもない!それより眠いのなら、一緒に保健室でゴートゥーベット……」
「断るわよ!!」

十二時まで爆睡。そして腹時計がなり、ピッタリで目覚める。
ふはは、この安眠を防ぐ者など誰もおらん!
「はーらへった、腹減ったぁ!」
鞄を開けて中を見る、が!
「べ、弁当忘れた…」
そういや机の上に置いておくっていってたなぁ。さて、どうしようか。
金もない、かといって取りに戻る気力もない。
絶望にうちひしがれ、ぼーっと外を見ていると
「ぶっ」
おもわず吹いてしまった。外に彼女が弁当箱をもって立っていたからだ。
慌てて外へ出ると、彼女は汗だくになって立っていた。
「なに!?いつからいたの?」
「え、えと、蒼也様が……」
「ストップ。外じゃ『さん』ね。」
「蒼也さんが家を出て行ったら……弁当箱が置きっ放しだったので
すぐに追いかけたんですけど……授業が始まってしまって渡せませんでした……」
「朝からずっと居たの?ここに?」
「はい、いつ気付いてもらえてもいいようにと……」
さすがに俺も呆れた。ここまでする娘は初めてだ。その汗だくの顔をものともしない笑顔に、
俺は少なくとも恐怖の感情というものを覚えた…………


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