***** 第4回
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「いいよ、もう帰って……」
そう彼女に帰るように促す。が。
「蒼也さん、お飲み物はありますか?今日は暑いからしっかりと水分を取らないと
脱水症状になってしまいます。よろしければ私が買ってきましょうか?
たしか自動販売機は……学校の裏でしたね。それでは買ってまいります。
あ、蒼也さんは校舎の中で待っててください。倒れてしまうとまずいですから。
はい、こちらハンカチです。汗をおふきになってください。」
そう一気にまくし立てると、彼女は走って行ってしまった。
「いかん……いかんなぁ。」
家では主導権は俺にあるのに、何故か外では彼女は元気になり、
いつもイニシアチブをとられてしまう。俺としては従順な娘のほうがいいんだけどな。
「ま、買って来てくれるんだし、お言葉に甘えまくって待ってるとしよう。」
ハンカチで汗をひと拭いし、校舎の中へと戻っていった。そういや……ローター着いてたか?
太股に紐があったから……着けたままなんだろう。
もう適応してきたのか。そろそろより強力なものを手に入れないとな………明日辺り、
学校さぼって探すか。

「んー。よかったよかった。これで食料の問題は無くなったな。」
一安心したら余計腹が減った。早速食おうかな。包みを開け、割り箸を割り、箱開ける。
レッツイーティング!!
『LOV…』
バン!
「はっはっはっ!さぁて、購買に…」
「ないでしょ、うちの学校。」
くぅ、紅よ。びしりと言うなよぅ、現実逃避させてくれよぅ。
「はぁ。」
おもいきら溜め息をつき、再度開ける。
『LOVE』
ああ、彼女よ。無慈悲なる一撃を我に与えるか。
「なに天を仰いでるの?蒼也?」
俺がまさに天を仰いでいるのを、海ちゃんが物珍しそうに弁当を覗いてくる。
これをみられたら……ヘブンだ!
「がつがつがつがつがつ!!!」
「うわっ、きったないなぁ……ご飯粒飛ばしながら食べないでよ。」
「がつがつがつがつがつ!!!ぐぼっ!!」
む、むせたっ!鼻の、穴に!ご飯粒がっ!!!
「く、紅…オーチャァー!」
紅が飲んでいた緑茶のペットボトルを奪い、一気に飲もうとする。
「あ、ば、馬鹿蒼也!」
あ、もしかしたらこれって、か、間接キス……や、やだ、恥ずかしいじゃない。

ぐびぐびぐびぐび!
そんなうれしはずかしな考えも浮かばず、お茶を一気に飲み干し、飯を飲み下す。
「ぷっはぁ!た、助かったぁ。」
「ああ…わ、わたしの…私のお茶がぁ。」
絶望にうちひしがれた紅を見る事に少し快感を覚えてしまった俺は少しSなのかもしれない。
ああ、もっと紅の壊れた姿を……
「蒼也…さん?」
ギクリッ!
瞬時に背中に悪寒が走る。その声に怒りと悲しみが含まれていたからだ。
「あ、はははは…よう…どしたの?」
案の定、彼女が立っていた。手には飲み物を持って……半泣きの顔で………
「そ、蒼也……さん、わたひの……買ってきたのみもの……ひっく…い、いらないんでずが?」
ま、まずいな……周りには紅達もいるし、無下にいらないなんて言えないなぁ。
こいつらには鬼畜な面をまだ見せたくないし………
しかたない
「はは、わりぃ、忘れてた。まぁでも飲むよ、うん」
「よかった…そうですよね、蒼也さんが私のを飲んでくれないはずありませんよね?」
そういって蓋を開ける。おや?目が虚ろですよ?な、なんで俺の首を固定するのかな?

そして彼女は一口のみ物に口をつけ……
グイッ!
「はい、これで私と蒼也さんも間接キスですね。」
無理やり俺の口に突っ込み、液体をながしこんだ。一気にっ!!垂直に!!!!
ペットボトルを凹ましてまで!!!
「おぶぶぶぶぶっ!」
しかも炭酸!
校内で口内を犯されてる!あれ、面白いギャグができt
「ぶっごぁ!」
当然炭酸の直接嚥下に耐えられるわけなく、教室のど真ん中でブチまけてしまった。
それを避ける事なく、もろにカブっていた。
「ああ……蒼也さんの唾液を含んだ飲み物が私にかかってます……うれしいです……」
いやいやいや、俺はそんな変態に育てた覚えはありませんて。うわっこらっ
俺の顔に付いたのを舐めるなって!
「あはは蒼也さんの味がするぅ。」
コーカが俺の味かよ。
「あの……誰?」
紅と海ちゃんが不審そうに見てくる。そりゃそうだよな。いきなりこんな珍事件を起こすんだから。
「えっとな…ほら、離れろって……彼女はえーと…うん、妹だ。名は、無い。」
「猫じゃないんだから。」
さぁて……どうごまかしていこうかな…


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