姉妹日記 第7話
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 行為を途中で打ち切って二人で背中を向け合って服を着なおす
 悔しいな・・・・・涼さんを最後まで満足させてあげることができなかった
 彼は優しいから私を気遣ってのことなんだろうけど・・・・
 涼さん・・・・ごめんね最後まで満足させてあげられなくて
 でも、これからたくさんあなたに触りたい
 これからもっと私の気持ちを伝えたい
 私を知ってほしいもっと彼を知りたい
 心をもっと繋げたい
 もっともっと・・・・愛してあげたい
 私を・・・・見て欲しい
 私だけを・・・・・
 不意に涼さんのケータイが鳴った
「はい、冬香?どうしたの?・・・・・え?・・・・・もう、僕はそんな子供じゃないぞ」
 ご兄弟とはいえ愛し合った・・・・中途半端だけど・・・・・
 そのあとすぐに私以外の女の子の電話に応えられると私としては面白くない
 不機嫌そうな私をちらちろと伺いながら涼さんはすぐに電話を切った
「あ、はは・・・・・若い女の子の家にいつまでもいるなってさ」
 複雑そうな笑顔・・・・そんな顔しないでください
「迎えにくるとかって・・・・まったく二人はいつまでたっても僕を子ども扱いなんだから」
 子ども扱い?いつものこと?少し違うような気がした・・・・
 またケータイが鳴った
「はい・・・・もうしつこいな!大丈夫だよ!・・・・あ、ごめん怒鳴ったりして・・・・・」
 また冬香さん・・・・・かな?
 小さな泣き声が涼さんのケータイから少し聞こえてきた
 涼さんが何度か謝ると再び電話を切った
 それと同時に今度はチャイムが鳴った
 ピンポ〜ン
「涼ちゃ〜ん!」
 外からの女の人の声に涼さんは驚き窓から外を見た
「夏姉ちゃん・・・・!?」
 え・・・・どういうこと?
 二人で玄関に向かってドアを開いた
 そこには満面の笑みの・・・・・
「夏・・・・姉ちゃん・・・・・なんで?」
「近くでね・・・・買い物してきたの・・・・近くを通ったから・・・・迎えに来たのよ?」
 買い物袋を少し上げて夏美さんがはにかんだ
「あの・・・・・」
「さぁ、帰りましょう・・・・涼ちゃん」
 この間の謝罪の言葉を発せようとした私を無視して夏美さんは涼さんの腕を取った

「夏姉ちゃん!ちょっと!」
「いいから、いいから・・・・・速くしないと大変なのよ〜」
 引きずられるように涼さんが夏美さんに連れられて遠くなっていく
 少しして涼さんは観念したのか自分で歩き出す
 振り返り両手を合わせて私に謝ると涼さんはにっこりと笑んで速くと急かす夏美さんに続いていった
 ・・・・・なんか急に寂しくなった
 ん?なんだろう?変な匂いがする・・・・
 裏庭辺りからパチパチとどこかで聞いたような音がする
 音のほうへ進んでいくと真っ赤な炎が裏庭に置いてある倉庫を燃やしていた
 私はしばらく呆然としてすぐに状況を理解して近くにあるホースを握って蛇口をひねる
 水がホースから噴出し数分浴びせると炎は消えていった
 安堵の声がだして私は両親に電話しようと窓から家の中に入った
 また異臭がして私は辺りを見渡した・・・・ガスが抜けている?
 私は思わずゾッとしたもし炎がここまで回っていたら
 私の部屋は二階・・・・
 台所と玄関はドアで仕切られていたので匂いに気づかなかったみたい
 急いでガス線を閉めなおし台所中の窓を開く
「ふ〜」
 私はもうなにをする気も起きなくなって自分の部屋に戻った
「え・・・・・」
 自分の部屋の異様な光景に私は息を飲んだ
 部屋中が荒されてお気に入りの動物のお人形に針や画鋲が刺さって転がり
 タンスは倒されて服はめちゃくちゃに切り裂かれていた
 部屋の中心にぽつんと置かれた写真を私は手に取った
「嘘・・・・・・」
 何枚かの写真を見てみると全て今日の私と涼さんの写真だった
 私の顔だけ切り抜かれて写真の置いてあったところに落ちていた・・・・
 それすらもずたずたに切り裂かれて


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