山本くんとお姉さん2 〜教えてくれたモノ〜 第6回
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<6>

胸が高鳴る。
声が、震える。
わたしのための、その背中に。

「山本くんっ!」
「ふ、藤原さん?!」

―――
――

   今は長き恨みもはればれとなりぬる事の喜しく侍り。
   逢ふを待つ間に恋ひ死なんは人しらぬ恨みなるべしと。
   又よよと泣くを。夜こそ短きにといひなぐさめてともに臥ぬ。

ええと、『今はもう長い恨みも、』はればれとなりぬる……『晴れた』『ことが嬉しいです』
『逢うのを待つあいだに』……ん〜……『恋い慕って死ぬのは』 人しらぬ恨み――あ、註がついてる。
「ひたすらに待ち続ける女心を知ってくれない、想い人の無情への恨み」
そういう恨みに『なるというものです』 『またよよと泣く。夜は短いと慰めて、』
臥ぬ……。臥ぬ?

「ちぃちゃん、辞書かして」
「ごめん、電子の方はアタシが使ってる」
「里香ちゃん、そっち終わった〜?」
「半分くらい……。なんかもう、文法とか超適当……」

はう〜。
なんとか火曜までには終わりそうかなぁ、こりゃ。
古文の加藤先生が、週末になって急に「和訳二十ページ」なんて大型宿題を出してくれるから。
休日だというのに友達三人で図書館へ繰り出して、朝から缶詰状態。
うちのクラスみんな、今頃ひーこら言いながら同じことしてるんだろうなぁ……。
はう〜。

……。
あれ?
あそこに居るのって……。
似てるけど、でも……。

もしそうだったら――そんなことを考えただけで、心臓がタップダンスを踊りだす。
……うぅ、わたしったら、彼のこといつもかんがえすぎなのかなぁ。
でも、でも、似てる、よねぇ……?

め、めがねめがね。
普段は恥ずかしいからかけないけど、緊急事態だから仕方ない。
えっとぉ、どれどれ……。

「……ねぇ。アレって、うちのクラスの山本?」
う。まー子めざとい。ちょっとムカ。

「あ、山本くんだねぇ」
うん、そう! 山本くんだよう!
どうしようどうしよう、まさかこんなところで偶然なんて。
うぅ、至福姿、じゃない、私服姿なんて初めて見たよう……。
あ、会えないと思ってた日に会えちゃうと、なんか、こう、余計に……。

「リカー?」
「………ど、ど、どうしよう、わたし、どうしよう……」
「里香ちゃん?」
「……や、やまもとくんだよう……」
「あんた何動揺してんのよ」
「……はうぅ……」
そ、そんなこと言ったってぇ。意識しちゃうよう……。
はう〜。会えると分かってたら、ミニスカート穿いてきたのになぁ……。
折角だから、折角だから、一緒に勉強したいなぁ……。
あ、わ、わ、めがねはずさないと、あわわ。

「山本ねぇ〜……。
 目立たないというか昼行灯というか、あたしにゃイマイチ印象の薄い奴なんだけどねぇ。
 ……………わ、わかった。わかったからそんな顔で睨むなって」

まー子には分かんないだよ、山本くんのいいとこ! 
……でも教えてあげないもん。
他の子はずっとずっと、山本くんのいいところに気づかないままでいいんだから。

「じゃあ、三人で山本くんの所へ行ってみる? 里香ちゃん?」
「……」
さんにんかぁ。
うぅ、どうしようかな……。 
でもまぁ、

この三人なら私が引き立つからいいけど。

「それとも一人で行く? いいよ、アタシらは」
「……」
が、がんばろうかな、かな。
うん、せっかくの神様がくれた偶然だもん。
それに、山本くんとお話し、したいし。えへ。

「んじゃ、頑張れ。アタシらはアタシらでキリついたら帰るから」
「里香ちゃん、ふぁいと〜」
うん、ありがとっ

「エロイことすんなよ〜」
し・ま・せ・ん! 
まー子ってば、そういう下世話なことばっか言うんだからっ。
ほんとに、もう、

だから男に相手にされないんだよ。


――
―――

「山本くんっ!」
「ふ、藤原さん!?」

駆け足してきたわけでもないのに、心臓がしきりと酸素を要求している。
喉元で交通渋滞でも発生したみたいに、言葉がつかえて出てこない。
はうぅ、毎日顔を会わせているはずなのになんでこんなに緊張してんのー。

「こんなとこで奇遇じゃ〜ん。あ、藤原さんもひょっとして、これ?」
山本くんが手元を開いて、まだまだ真っ白なノートと古文のテキストを晒す。
オーバーヒート中の顔面を扇ぎ冷ますように、コクコクと頷いてみせた。
やあぁ、わたしなに泣きそうになってるんだよう……。
やんやん、山本くん、休日だからってそんなにじろじろ見つめないでぇ。
……ぬ、ぬ、ぬれちゃう……よ……。

……え?
山本くんじゃない? はぁ。
でもなんか、ねっとりとした視線を感じちゃってますけど……。

落ち着いて見渡せば、山本くんの隣りの席で本を読んでいた女の子が、顔を上げてこっちを見ている。
……うわすごい、女学院の子だ。上着脱いでるしベレー帽も被ってないから、わかんなかった。
すごーい、綺麗な子ー。

……。

だ、だからなんなんですかぁ……?
さっきからその視線、痛いです……。
へんな子だよう。あ、あっちいってくださいっ!

や、山本くぅん……。

「え? あぁ、彼女は僕の父方の従妹で、山本梓。あず、僕のクラスメートだよ」
「……こんにちわ」

……なんだ、知り合いだったのかぁ。従妹……ねぇ。
でもでも、山本くんの親戚なら、仲良くなって欲しいかな。欲しいかな。

「はじめまして。藤原里香です」
えへ。

……。
………。
あのぉ……。
どうしてそんな目で、睨むんですかぁ……?

 

……。
なんだか……。
どこかで感じたことがあるよ、このめつき……。
うん、前に会った山本くんのお姉さんそっくり……。
はうぅ、親戚の人とは仲良くなりたいだけなのになぁ。
やだなぁ。
こーゆーの、やだな……。

山本くんの一族の女性って、こーゆー感じの人たちばっかりなのかなぁ……。
それでそれで親戚で法事があると、ぞろぞろ集まってくるとか……。
どうしようどうしよう。わたしうまく溶け込んで、一緒にお茶汲みとかできるのかなぁ、ちゃんと。
自信ないなぁ……。
……でもでも、がんばるもん。

あー! 山本くんのお母様まで、こーゆー感じだったらどうしよう?
いじめられて、お隣の奥さまに悪口流されて、秋茄子も食べさせてもらえないのかなぁ。
はうぅ……。
あ、でも、この子は父方の従妹だって言ってたなぁ。ひょっとしてお父様の血なのかな、こういうの。
……お父様の方なら……うん、なんとかできそう。
大丈夫、やれるよ里香、がんばろ。

……。
………あ。
え、えっとぉ、あずさ……さん?
……さ、さっきにも増して激しく睨まれると、わたしこわいんですけど……。あの……

や、山本くぅん……。

「……あ? はは……。梓はちょっと人見知りするタイプだから。でも悪い子じゃないから」
そそそ、と山本くんの背中に隠れちゃった私に、彼が小声で教えてくれた。
ふ〜ん、そうなんだ〜。
でもねでもね、

なにこのうざい女、キモっ

………
……

「ところで、ねぇ山本くん。宿題すすんでる……?」
ちょいちょい、と山本くんのシャツを引っ張る。
端っこをちょっぴりつまんで、俯き加減に、ほんの少しだけ縋るように引っ張るのがポイントだよ。

「いや、ご覧のとおり。最初の二ページしか終わっていない、このヤバさ」
あ、やっぱり。えへ。

「じゃ、いっしょにやろ? 二人でやれば早く片付くよ」
「えっ……と。でも」
むむむむ。
じゃあ、ちょっと胸元で手をもじもじさせて。上目遣いにして……こんな感じかな?
もう一声。

「……いっしょに、やろ?」
「あ、うん。別にいいよ」
うふふふ。可愛い。山本くんったら、押しに弱いから。
もう。そんなんじゃ、すぐに知らないオネーサンに連れて行かれちゃうなぁ。
……だからって、実のオネーサンに連れて行かれるのもイヤだけど。
ま、それはいいとして。

「あの、それでね、梓さん」
「…………私に、なにか?」
「あの、席……変わってもらえますかぁ……?」

……。
はい。そうです、貴女の座っている席のことですよぉ。
だって、山本くんは閲覧テーブルの端に座っているから、お隣りは貴女の席しかないんです。はい。
お隣りじゃないと、一緒に勉強できませんから。
それにわたし、学校でも山本くんの隣りの席だったりしますし……。えへ。

……。
………あ。
だ、だからそんなにこわいかおしないでください……。

あ、あの〜……。もしかして、おイヤですかぁ?
で、でも梓さん、見たところご本を読んでいるだけですし……。
だったらどこの席で読もうが一緒ですし……。
その、わたし達はノートの見せあいっこして頑張らないと、課題終わりそうにないし……。
………。

や、山本くぅん……。

「あ……はははは。あー、うん。じゃあ僕がそっち側の席に移るよ。
 あず、さっきから読書の邪魔してたみたいで、ごめんね。あずはそこで読んでてくれていいから」

わ〜い。山本くんが隣りにきた、きた! 
えへ、なんか学校にいる時と一緒だね。

まぁ、それにしても、


ほんっと気が利かないガキだな、こいつ!

………
……

「見て見て、じゃ〜ん! わたしもう『菊花の約』の方は訳し終わってるの。あとで写させてあげるよ」
「マ、マジっすかぁ!? ラッキー!」
「うん。だから残りの『浅茅が宿』の方を、がんばって訳そうね」
山本くんの教科書に、スッと鉛筆を伸ばす。
該当箇所はここから……………ここまで、だね。
……ついでに髪をサラリと揺らして、山本くんが吸う空気に匂いづけしておくのも忘れない。

   五更の空明けゆくころ、うつつなき心にもすずろに寒かりければ、
   ふすまかづかんと探る手に、何物にや、さやさやと音するに目覚めぬ。

「『五更の空が明ける頃、』うつつなし、うつつなし――『正気でない』……どういう意味だろね」
「……主格の人は寝てるみたいだから、『夢見心地にも、』って感じで良いんじゃ?」

集中している……。山本くん、集中している……。
無造作に投げ出されている、山本くんの左手。
はうっ はうっ はうぅぅ……好機ッ みっしょんすたーと!

――ええいっ!
ぺと。

1、偶然を装って手を重ねる。
2、三秒数える。
3、「きゃっ」と呟いて、添えた手を引き離す。
4、その手をグッと、切なげに胸元へ(グーで握り締め、小刻みに震えてたりするとポイント高)
5、赤面しながら視線を逸らす(やや俯き加減だとさらにグッド)

1から5の作業を、鍛えられた軍人の如く正確無比かつ機械的にこなすわたし。
目線の流し方、脇の締め、顔色の調節……全てが山本くん好みに最適化されたもの。

……さて、山本くんは……。
よし、成功っ! わーい照れてる照れてる! わたわたしてるー! 
えへ。えへへへ。
そうだよね〜、そうだよね〜。わたしがこうやって乙女の恥らいを見せ付けている以上、
いくら鈍感星人の山本くんでも、わたしの「女の子」を意識しちゃうよね〜。えへへへ。

……だ、誰ですかぁ。今、「バカップルだ」なんて思ったのは?
い、いやですよ、カップルだなんて、そんな、本当のことを言っては……。

こんなノリでも、ばかにしちゃいけません。
クラスでは「おとなしい藤原さん」で通っているんですから、丁度いいんです。これが正解なんです。
山本くんはね、なんていうか、こーゆー中学生っぽいノリの方が安心できるみたいなの。
想い人の性癖にさりげなく合わせてあげるのが、賢妻良母というやつです。
……さらにぶっちゃけて言えば、彼の「雰囲気が読めない」という欠点も原因の一つ。
こういう分かりやすいお約束で攻めないと、コッチの気持ちを理解すらしてくれませんから。
だから反復継続して、わたしの「女の子」を意識させていく。これは一種の躾け、調教ですね。

と、ともかく、です。
こんなちょっとしたスキンシップでも、ですよ?
毎日も何度も繰り返していけば、さすがの朴念仁さんでも心と身体がオープンになっていくものです。
手を握っている時間が三秒から三分、三十分、三時間、三日、三年と延長しても気にならなくなります。
やりますよ〜。
今日の帰りまでには、ドロドロになるまで男と女の体液(訳注:手汗)をねっとり絡め合うんです!
えへ。

 

次の一手は……そうだなぁ。
「二人が同時に辞書に手を伸ばす → 偶然手が重なっちゃって『きゃっ』」なんて流れが自然かな。
よ〜し、タイミングを合わせるぞ。
がんばろ、里香。ふぁいとっ、おー。

………
……

「すずろなりすずろなり――思いかけず。『思いもよらずに、寒かった、ので』かな」
「ふすまかづかんと探る手……? なんだろうねこれ。ふすま? 襖を閉めたってことかなぁ……」
「ん、ちょっと待ってて」

山本くんが――辞書に手を伸ばした! 
見えるッ! わたしにも、ちゃんすの神様の笑顔が見えるッ! 
え、ええいっ!

 

「布団のことです。秋人さん」

 

「ふ、ふすまは、布団のことです。夜具のことです。秋人さん」
………。
「かづくは『かぶる』です。カ行四段の未然形に、『ん』は推量・意志の助動詞『む』です」
………。
「ふ、『布団をかぶろうと探る手』です、秋人さん……」
……。

外 野 は す っ こ ん で ろ !

わ、わー、すごーい。
すごいねー、さすが女学院の生徒だねー
ねー、やまもとくーん?

「……がんばって、いっぱい努力してたんだね、あず」
ど、どうしてそんなに嬉しそうに、はにかむの……? 
わたしだって……。ねぇねぇ、山本くぅん……。

「………」
アンタの方はなんでそこでポーカーフェイスになるのよ。
これ見よがしにプイプイそっぽ向きやがって。わざとらしいんだよ馬鹿。
………あわ? あわわわ、いけない

つい本音が。

「あず……」
山本くんも、そこでそんなに寂しがらなくても……。

むぅぅぅぅ。
むーーーーーーーーぅぅぅぅうううううう!
なんですか、なんですか、なんですかぁ、この間合いはぁ!

ひょっとしてこれ、「つんでれ」……って奴ですかぁ?
ちょっと前のアキバ系ドラマでネタになっていた、あの……。
はうぅ……梓さんって、「つんでれ」キャラだったんですねぇ。
生でそんな人、初めて見ましたぁ〜。

――って、キモッー!
この女、キャラ作ってるよ恥ずッ!

………
……

    さりともと 思ふ心に はかられて 世にも今日まで 生ける命か

「『それにしてもと思う心に騙されて、今日まで生きてきた命のことよ』か。意味が分かりにくいな」

――トン。ころころころ……。
山本くんが考え込んでいる隙に、狙いあやまたず彼の足元に転がっていった消しゴム。

「ちょっと、ごめんね?」

襟首の準備をしっかりと整えておいてから、山本くんの足元に屈みこむ。よい……しょ。

……。
………どう?
……………ち、ちゃんと……見えた、かな?

えへ。えへへへへ、かわいいブラ、でしょ?
……ぜ、ぜんぶ……山本くんのためなんだよ……。
中も……見てみたい……?
…………………いいよ。……山本くんさえよければ、いつでもいいよ……。

ごめんね、山本くん……。
この程度しかしてあげられなくて、ごめんね……。
今日会えるって事前に分かっていたら、ミニスカート穿いてこれたのに。
そしたらもっと色んなコンボを使えたんだけど……こんなのでごめん……。
でもでも、まだまだ今日は閉館まで時間があるから、ね?
えーと、次の一手はぁ……。

 

「秋人さんッ!!」
「は、ハイ!」

「さっきから秋人さんに言いたかったことがあるんですけど」
「ど、どうしたの、あず? ……なにか……怒ってる?」
「図書館では、静粛にするのがマナーだと思います」
……………。

「そうやってくっつ――ンんッ、お喋りしながら勉強するのは、賢明ではないかと」
…………。
「わ、私は別に気にしないのですけど、周囲の方々の迷惑になるといけません」
………。
「気をつけた方がいいと思うんです」
……。

や、山本くぅん……。

「……そうだね」
山本くぅん……。

「ごめん。ちょっと無神経だった」
恥ずかしげに鼻をかきながら、申し訳なさそうにわたしを一瞥する山本くん。

……。
はうぅ。そ、そうだよねぇ……。
図書館のマナーは守らないと……。
ごめんなさい……梓さんの言う通りでした……。
あ〜あ……。わたし、山本くんに会えて浮かれてたのかなぁ。
ちょっと自己嫌悪……。

 

さて。
怒られちゃったから。

それじゃあ、思いっきり山本くんの方へ椅子を寄せて、っと。
自分の教材もずずずっと、山本くんの手元へ寄せて、っと。
ついでに山本くんにぴったり肩を寄せて、……ぴとっと。
これでいいかな、うん。

「ふ、藤原さん!?」
(しーっ。そうやってお喋りするの、まわりの迷惑になるよ)

かつてない程接近しちゃった山本くんに、そっと耳打ちする。
はうぅ。山本くんの耳たぶ、ぷにぷにしてて可愛いよう。
……あとで触らせてもらおうかなぁ。触らせてもらおっと。

(い、いやそうじゃなくて、どうして……)
(仕方ないよ。相談しながら勉強するなら、こうやって、小声で邪魔にならないようにしないと)
(……あ、そっか)
(うんっ、図書館のマナーだからね)

回りに聞こえないように耳打ちで内緒話しなきゃ、マナー違反だからね。
そのためには、ぴったりとたっぷりとどっぷりと寄り添っていなければ。
じゃあ、お勉強続けよ――

きゃん!

……あ、あのぉ、梓さぁん?
そ、そんな風に思いっ切り本を叩きつけると、わたしびっくりしちゃいます……。
それに、あの、図書館では静粛にするのがマナーだと思うんです、わたし。

 

………あ。
………。
あー、ははは……、えっとですねぇ。
差し出がましいかもしれませんけどぉ……。ちょっと「ソレ」は控えた方が……。
ですから「ソレ」を披露するのはやめておいた方が……。はい、そのお顔のことですよぉ。

あのですね、わたしを挟んですぐ隣りには、山本くんも居るわけ……なんですよ?
今の何と言いますかぁ、般若……のような形相には、千年の恋も冷めるというか……その……。
特に梓さんは、千年どころかほんの五分すらも、山本くんから恋されてないじゃないですかぁ?
ですからぁ……結構キッツイと思うんですよ、それ。他人事ながらイタイというか。
……せっかくのキャラ、壊れますよ? えへ。

きゃん!

あ、わ、わ、駄目ですよう、公共の本を乱暴に扱ったりしては……。図書館のマナーですよ?
大丈夫ですか? そんなに真っ赤になってぶるぶる震えてぇ、切羽つまったご様子で……
あ、お手洗いにでも行きたいんですかぁ?

………。

……ど、どうしたんですかぁ。
梓さんがさっきからなんだか変ですぅ……。
なんか……殺気立ってて、こわい……。

や、山本くぅん……。

「あのね、あず」
「な、なんですかっ? 秋人さんッ!」

「トイレなら、そこの社会科学Tの書棚を曲がった所にあるよ?」

……うんうん。
よかったですねー、
お手洗いの場所が分かって。

トイレで一人で自慰ってな
ば〜かっ!

 

え  へ  へ  へ。


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