生きてここに… プロローグ 第2章
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「圧勝だったね?」
奈々さんが満面の笑みで擦り寄ってくる
くっ付きすぎだろう?
離れようとしては近づかれ離れてはを繰り返す
俺は・・・・諦めた
「そうでもない・・・・」
「謙虚だねー?」
そうなのかな?でも、確かに相手の動きが手に取るように見えた
最近なぜかより速く身体が動くようになった
頭に身体が付いてきたのか?
けれどいま誰と戦っても負けない自信はある
「俺はどうだったんだよ」
ボロボロにやられている東児が青くなっている目を氷で冷やしながらやって来た
「ああ、頑張ったんじゃない?」
冷ややかなその声・・・・
いや、違うな
彼女は異性にあまり慣れていないんだ
だから無愛想になってしまう
今だって必死なのだろう
掴んだ手が震えている
昔の詩織がそうだったからよくわかる
ちなみに詩織は俺が殴られるのを見て
最初の内は耐えていたが後半になってバッティングされて出た
血を見て失神してしまった
すぐに医務室に友人が運んでいったが
だから、見に来ないほうがいいと言ったのに
奈々さんも俺が殴られる度に青ざめていた
俺の周りにはいじっぱりが多いな

 

ああ、血を吐いてる・・・・気持ち悪いな靴に付いちゃった
その目はもうやめてと言っている
なに?これで許すとでも思ってるの?冗談・・・・
私は隣に立っている子から木刀を奪い取るようにした
「ちょ・・・・香葉、なにもそこまでしなくても」
パンと爆発音のように肌を叩く
隣に立っている子が脚を抱えるように座り込んだ
「邪魔・・・・する気?」
ああ、もう・・・一人も二人も一緒か・・・・
私は木刀で二人を交互に叩く
周りの子に対しても見せしめになる
徹底的に・・・・徹底的に!
蚯蚓腫れの次には腫れた所から内出血が見られた
どうしてこんなことするかって?
だってこの子・・・・一人は逆らったからだけど
仁さんに告白しようとしたんだよ?
それだけ?私にとっては万死に値するほどのことよ
本当は磔刑にして胸に刀を突き刺してやりたいけど・・・・
それをやったら可能性がなくなるから今はしない
ああ、泡吹いてるよ・・・・
「気持ち悪い・・・・」
自然と言葉が出た
これがあの女だったらどれだけ楽しいだろうか?
想像しただけでゾクゾクするよ
力の入った手でもう一度木刀を振り下ろす・・・・
「・・・・・っ!?」
前に受け止められた
後ろを向くと
背中の後ろに届くまで上げた木刀の先を月緒詩織が掴んで私を睨み付けていた


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