広き檻の中で mixture world mixture worldU17
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ぱ、パパ?ぱぱ?……ファザー?……誰がって、俺が?
「は、ははは……ヘイ、Girl。落ち着こうじゃまいか。」
いやいや、俺の方こそ落ち着けや。
「パパ……このおねーさんたちだれ?うわきはいけないんだよ?」
「え、ちょ、おまっ。」
「ふふふ……うわきはいけないんだよ?……晋也?」
ゾクッ
嗚呼……万能包丁が背骨をゆっくりなぞってるよ………ノー!通行人!!見て見ぬ振りしないでよ!
「せんぱぁい、私はだめでこの子の母親ならよかったんですかぁ?」
「ひ、ひいぃ!」
ギャーーーーース!!!!!
この後その場が合戦跡地になったのはいうまでも無い。
数分後、俺の部屋。
「さーて、お嬢ちゃん、詳しく話し聞かせて欲しいなぁ。」
「そいそう、せんぱいの娘さんだなんて冗談だよねー。」
「んー!んーー!」
簀巻きにされた俺をよそに、黒いオーラをまとった二人が笑顔で尋問を始める。
さすがの幼女もその不穏な空気を読んだのだろうか、かなり怯えている。
「え、えっとね……ほんとうにパパなの…」
嗚呼……俺は夜な夜な子作りでもしてたのでしょうか?

「んーん、んがんんがい……」(いーや、そんなことない……)
ヒュッ、ズダ!
「………」
必死の反論空しく、『あんたはだまってて』といわんばかりに、志穂が万能包丁を投げてきた。
頭の上スレスレに刺さったんなら黙るしかないでしょ。
「お嬢ちゃん、お名前は?」
「…笹原…ナミ……」
「ふーん……名字までいっしょだなんて、これは……」
「確定、ですね。」
あ、あれあれ?なんでこんな時に限って二人仲がいいんですかい?ナミなんていう名前、
おいどんはしらんよ?
と、いきなり春華が小さい木製トンカチを取り出すと、机を叩いて…
タンタン!
「被告人に判決を言い渡す!……死刑!」
「異議なし!」
「いぎなしー。」
あ、こら、ナミちゃんまで悪ノリしちゃいけません。
この二人は本気なんですよ、マジなんですよ!
「ん、んん、んぁ!」
こんなところで死にたかない。必死の抵抗により隣りに住む浪人生、三浪君(自作名)に助けを!
「ふふ、みっともない……私を裏切るからこうなるのよ………春華と3Pさしただけでも、
地獄行き間際だったんだから………」

志穂がゆっくりと万能包丁を抜き、喉元に当てる。
「あははー、せんぱい、最後に遺言ぐらい残してあげます……よっ!」
ビリッ!
「おああああああ!!????」
口に貼ってあったガムテープをいきなり全力で剥す春華。口ごと持ってかれちゃうよ!
「ぐああ…ち、違う、潔白だ!純白だ!俺の好きな下着の色は!」
それは白違い。ってかこんな状況でなに言ってんだ、俺!
「ふふ、この子の名字が笹原……そのうえ本人があんたをパパって呼んでるじゃない…」
「くっ……じゃ、じゃあ…おとこばに甘えて遺言を……」
「お言葉ね。」
「……そのベットのシーツの中にあるエロの宝を…墓に埋葬してくれ…」
「………」
志穂はそのエログッツを取り出すと………
「えいっ!」
ヴァキ!
「ああ!!?折らないで!割らないでぇ!」
命の次に大切な戦友が蹂躙されてく!
「ううう……くっ…ひっく、私がいるのに、こんなのまで買って…子供もつくるだなんてぇ……
私は晋也のなんなのよー!」
そう叫びながら剣の舞いを放ってきた!
「パパ……と、すこしちがう。」

「なっ!」
「「!?」」
それを聞いた途端、二人がまるで地獄に垂れた蜘蛛の糸を見つけたような、
そんな希望にあふれた顔をした。
「え、ほほ、ほ、本当に!?晋也が親じゃないの!?」
「うん、かおはそっくりだけど、……うーん、こんなにあかるくない……もっとよわきだよ、
ナミのパパは。」
顔はそっくりで弱気?そんな奴がいてたまるか!
「よ、弱気なせんぱい………せんぱいはSなのに、そのそっくりさんは弱気……
そ、総受けなせんぱい?……ハァハァ、ウッ!」
??春華が少し壊れたようだ。壁に向かってなんだかぼやいている。あ、危ない奴だ。
「はぁあああ〜〜〜……よ、よかったぁ……ひっく……晋也が……無実で……うく……」
志穂は嬉し涙か。そうだよ、志穂、俺にはおまえしかいないんだよ。愛しい奴め。
「うぅ……で、でも……晋也ぁ………」
「ん?なんだい、志穂?」
全身全霊、生まれて初めてなほどの優しい声で聞く。
「さっきのエログッツは、別に話を聞くからね。」
「は、はひ。」
前言撤回………愛しい奴もとい、恐ろしい奴め………


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