広き檻の中で 番外編 『この子どこの子?』 番外編1話
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「で、だ。一体どこの子なんだい、ちみわ。」
我、問幼女。
「テキトーな漢文つかってんじゃないの。……それにしても、本当にどこの子なのかしらね……
弱気な晋也って………」
と、そうだ。ひとつ気になることがある…。『ママ』は誰なのか、だ。
まさか男のオナニで生まれるわきゃない。
「なあなあ、ナミちゃん。」
「ん?なーに?おじちゃん?」
ピク!お、おじちゃん?仮にもまだ現役学生の俺におじちゃん?ならん、ならぬぞ!
俺のそっくりさん!教育がなっとならん!
「いや、違うよ、ナミちゃん。お、に、い、ちゃ、ん。さぁ、言ってみなさい。」
「おにいちゃん……?」
「うおああああおあがいあがあなぁ!!!!」
「せ、せんぱい!自重くだされ!妹属性がばれてしまいますよ!」
と、志穂が…
「くぅ……」
苦虫を噛み潰したような顔をしていた。(見たことないが)
「お、お……おお……」
「どうした、志穂?なにを嘆いてんだ?」
「おにいちゃん……」
「うおああああおあがいあがあなぁ!!!」
「嗚呼!せんぱい!顔中からいろんな液が出てます!!」

「うぐっ……ひっく…」
涙、鼻水、汗。その全てが顔から流れ出て、まるで滝のように床を打ち付ける。
「だってよぅ……今までHなことに消極的だった志穂が……おにいちゃんだなんて
ワードを言ってくれるなんて……感激だぁ…」
「おにいちゃん、がHなの……?」
「どうしたの?おにいちゃんいたいの?」
「ううん、うれしいんだよ……」
いやぁ、可愛らしいなぁ、ナミちゃん。ほんと、娘が欲しくなってきたよ……
「せんぱい、せんぱい♪」
「ん?どした?」
「おにいちゃぁん…」(最大限の甘い声)
「………」
「…………」
「…………………」
「な、なんなんですか、この白けた空気は!?むせび泣いて喜ぶ所でしょう?」
「いや、っつーか春華はさ、後輩のキャラが強いわけさ。
だから、なぁ……おにいちゃんってのは来ないな。うん。」
「ぱくりー、私のぱくりー。」
「きゃははは、ぱくりー。」
「う、うぅ……」
哀れ、春華よ。志穂とナミちゃんにダブルで弄られてる。
「ま、しょうがない。今日のところはナミちゃんを泊めてあげるしかないか。
今から親探しするのも難しいしな。」

「そうね……このままにしてはおけないものね。」
よしよしと頭を撫でる。
「さぁ、ナミちゃん!今日だけは、俺たちがパパとママだぜ!」
「おにいちゃんと………ままはどっち?」
志穂と春華に問うた瞬間……
「はい!はい!!はぁい!!!私がママです!っていうことでせんぱ……もとい、だーりん♪
今日も夜な夜な子作りでも……」
「ちょ、ちょっと春華!なに勝手に進めてるのよ!?夫婦っていったら私と晋也しかないでしょ?
何勝手に決めて……」
おうおうおう。また始まった。どーもこの二人は犬猿の仲というかなんというか。
春華が挑発するし、またそれに志穂も乗るし………
と、二人がギャースカ言い合っているのをよそに、ナミちゃんが俺の服の裾を引っ張る。
「ん?なんだい?」
「あのね、ママの事なんだけど……」
なんと!俺のそっくりさんの妻についての情報か!?
「えぇい静まれい!ナミ殿のお言葉である!静まれいぃ!!!」
「なんでですか!?普段ムカつくぐらいイチャついてるんですから、
今日ぐらいせんぱいを譲ってくれたっていいじゃないですか!!」

「はん!その『今日ぐらい』でなにされるかわかんないじゃない!
晋也の貞操は私の貞操でもあるの!春華と一晩過ごさしたらなにされるかわからないじゃない!!」
「うっ……うぅ……いいかい、ナミちゃん。こんな女の子になっちゃいけないよ?
もっと清らかに、大和撫子に育つんだ……」
「うん、あのね、おにいちゃん。………おねーさん、ふたりともママにはなれないよ?」
「ほぅ?」
おお、なんと健気な幼女だ。自分のママは一人だけとおおせられるか。代わりは勤まらないと。
なんと一途、なんと鉄壁……
「だって………ママ、もっとおむねおおきいもん…」
「………」
「……………」
「………………」
「…(´_ゝ`)プッ」
「「黙れ!!!」」
「ぐばらがぁ!?!?」
秘技、ツープラトンエルボーがもろに食らい、壁にたたきつけられる。
「ぐっ……ふ、二人で……世界を…」
「悪かったわね!!ナイムネで!巨乳の奥さん想像したんでしょ!?この妄想浮気者!!
殺してやるぅ!あんたを殺して私もしぬー!!」
最早暴走状態の志穂。春華は……嗚呼!?手錠!?やめてっ!トラウマなのだー!
何故か手錠を見ると寒気がする。
きっと前世の俺と手錠なにかしらの因縁があったんだろうなぁ………


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