広き檻の中で mixture world mixture worldU 2
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はぁ、教室についたとたん、これだよ。
「おはよう、晋也。」
「…ちっ」

「おやおや、晋也君。昨日の今日で早速浮気ですか。君にも僕の電波が届い………」
「はいや!」
五月蠅い馬鹿に猪木もびっくり延髄蹴り。完全に敵艦は沈黙す。こいつがいるから今日はきずらかったんだ。
とりあえずセンセにみつからんように掃除ロッカーの中へ。グッナイ!
と、ちょうどチャイムが鳴る。うん、睡眠の合図か。
「オラー。席に着きやがれ愚徒ども!」
相変わらずうっさい鬼山が入室。このご時世にジャージ角刈りとはいかなものか。まあ、馬鹿だから
許すけど。
「そうだ、笹原。昨日今日と校門前でやらかしてくれたなぁ。即刻退学にしてや……」
早速胸ポケットから生徒手帳を取り出し、素早く捲る。このとき俺の脳と視覚は常人の軽く5倍は上回る!
現代コムピュタもびつくりだ!
「あっれー?生徒手帳にゃ『校門での口付け及び愛の告白を禁ず』なんざひとっつもかいてねぇぜぇ?」
「くっ!…貴様、こんな時だけ無駄に頭が働きおって……TPOを考えろ!普通はあんなことはしない。」
掛かった!
某司令官のように、くいっと眼鏡を中指で上げる。

 

「おやおや、センセは人前でキスをした事がございませんか。そーですか。あ、失礼。
彼女いない歴=年齢な貴殿にとっては愚問ですな。」
「うぐっ…」
反論できない辺り、図星だな。クラスメイトもくすくすわらってらぁ。
涙目になる鬼山勝二。今日も元気です。ってかそんなんで泣くからからかわれるんだよなぁ………
「じゅ、授業を始めるぞ!貴様ら!」
そんな言葉を無視し、やっと待望の睡眠時間に入る。やりましたよ、母さん。今日も今日とて、
迷える小羊に贖罪の一撃を食らわしてやりました。…………
「ぐぅ…」










「はっ!」
と言う間に昼休み。うーん。汗かいたなぁ。食堂にでも行きますか。
我らがオアシス、食堂『生半可』へ。……うーん、なんか忘れてるような。
ま、気にしちゃ埒が明かない。ちゃっちゃと行こうか。徒歩一分。そこにそびえ立つ食堂『生半可』。
客入りはそれなりってとこか。お、チャンス。注文口が空いてる。
「あら〜、晋也くん。いらっしゃあい。」
受付のおねいさん。自称、『鉄の未亡人』。由来は、未亡人にして処女らしい。歳は……見た感じ20前半か。

まあ、なぜ俺の名前がしられてるかってーのは。
「おねーさん、かき氷、豚汁シロップでひとつ。」
こんな下らない注文を毎日してるからだ。ちなみに豚汁シロップというのは、俺が一度間違えて
『おばちゃん』と呼んでしまった時に出された究極料理だ。
その日の夜は、トイレにかかる水道代が半端なかっただろう。
「うぅーん…困りましたねぇ。今日は豚汁作ってないんですよぉ。」
真剣に悩んでくれてるおねーさん(名前なんだったかな……まだ記憶があいまいだ。)を余所に、
失礼ながらも揺れる乳に目が行く。
で、でかい。まぁ、志穂や春華みたいに俺の周りに集まる女子の胸が平均的に小さいって事もあるが、
それを引いてもでかい。
………メイド服とか着せたら似合いそーだなぁ……なんて事を考えてたら
「晋也くん?ごめんなさい、豚汁はまた今度用意しておきますねぇ。」
「あ、いえ、どうも。」
そういっても用意はしないのだが。さて、次は毎日の日課だ。
「ふむ、では今日もおねーさんの処女膜をいただこうじゃないか。いくらだったかね?」
「ふふふ、時価です。」
「うむ、で、今日は?」
「国の国家予算くらいですかねぇ。」

「ほう、昨日は億で、今日は兆かい。」
「あ、米国のですぅ。」
笹原銀行は崩落の一方ですよ、父さん。とんだインフレがあったもんだ。
「うーん、今日は無料でスマイルが貰えたから心はパンパンです。」
「あらぁ、うまいわねぇ、晋也くん………誰に対しても。」
最後のスマイルはお釣が返ってきそうなほど怖かったヨ。
結局なにも頼まず、水だけを飲んで冷やかし。金に余裕がない限り、大体昼飯は抜きだ。
……うん、そろそろか。腕時計を見る。毎朝ラジオで合わしてるから、一秒の狂いもないはずだ。
5…4…3…2…1…
「あ!せんぱい、せんぱい。奇遇ですねえ!また会いました。」
「おのれの奇遇というのは毎日続くものなのかい。」
「うーん、どうでしょ。こうも毎日続いたらこれは運命と言い換えるしかありませんよ。
うん、私達は運命の赤い海底ケーブルで繋がってるんですよ。大丈夫、切れることはありません。」
「ほう、それは、それは。こいつぁ堕辰○様にぶったぎってもらわにゃならんとですばい。」
「どーしてですかぁ!」
そう言って俺の隣りに座る。毎日の昼休みの費やし方はいつもこんな感じだ。春華相手に談話。
悪くはない。今は志穂が居なくて寂しいが。
「ではせんぱい、これなんだと思います?何が入っているでしょう?」
そう言って手提げを見せる。俺が誕生日だと聞いて買ってやったやつだ。まだ使ってたのか………
「金か!?そうかそうか、憂い奴じゃ。」
「そういう欲望に素直なせんぱいも尊敬しますが、残念ながらお金ではありません。」
あきれたような顔をしながらも、声はウキウキだ。
「…じゃあ、なに?」
「ふっふっふっ…」
まってましたと言わんばかりに、中から箱を取り出す。
「不肖、この烏丸春華。恐れながらせんぱいのために愛妻弁当を作って参りました。」
「な、に!?『負傷、この烏丸春華。畏れながら哀砕弁当を作って』きただと!?」
「んー、見えない違和感がありますが、まあ、いいでしょう。はい、食べてください。」
そう言って差し出された弁当はうまそうだった。が!その……こいつは気付いているのか。
周りで冷凍食品チンレベルの飯を食っている猛者どもの、嫉妬と羨望のまなざしヲ!!
君は一年にして夏校のアイドルだとうことを自覚してくれぇ!!!
グウーー
「……いただきます」
なによりも食欲が勝る俺だった。


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