広き檻の中で mixture world mixture world 6
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ナイフをポケットに入れ、お嬢の部屋へ向かう。こうなりゃ一か八かだ。
「あ、晋也、遅かったね。どうかしたの?」
我儘だ。これは自分の完全な我儘だ。覚悟はしてるサ。おでこに頭を付け、全力で土下座。
恥も外聞も知ったこったゃない!!
「お嬢!……お願いだ!!!教えてくれ!!………どうしたら…どうしたら、志穂を幸せに
してやれるんだ!……もう…アイツの泣き顔は見たくないんだ……」
怒られようが怒鳴られようが何でもこいだ。呆れられて、永遠の死を迎えても良い!
「……さあ?あんな負け犬、そこらの男にヤらせてれば快楽におぼれて結果オーライなんじゃない?」
「………」
我慢我慢我慢!ここでお嬢を…しても意味が無い!
「…ふぅ、ま、それぐらい聞いてくるとは思ってたけどね……本当に聞いてきたのね。」
「えぁ?」
考えはお見通しってか。参ったね。
「……無い事は無いわよ。一つだけ、方法が。」
「…マジか!?教えてくれ!」
藁にも縋る思いで、問い詰める。
「……私を、殺せばね。」
……予想だにしない答えだ。つまりはなにか?殺して万々歳ってか?そりゃどっちかが死ねば
ある意味解決だが。

 

「…言ったでしょ?私がこの屋敷自身だって……つまり、私が死ねばこの屋敷も死ぬって事よ………」
「屋敷が…死ぬ?」
なんて非科学。なんて非現実。ま、そんな言葉、この世界じゃ通用しないよな。
「でも、この屋敷が消えれば、ここで起きた事すべても消える。晋也がこの屋敷で生きてきた事実、
思いで、証拠……その全てがね。」
不気味な笑みをこぼし、更に続ける。
「だから、私や志穂、里緒の事も全て忘れるのよ。」
…全部?忘れる?……それじゃ意味が……
「じゃあ、この屋敷での事が無くなるとしたら、俺はどうなる?俺の…みんなの存在は!?」
「さあ?」
さあって…
「別世界の『晋也』として生きる事になるわよ。『屋敷の使用人として生まれなかったら』
『普通に学校にかよう青年だったら』そんな可能性の世界に。」
「それじゃあ……そんなんじゃあ……」
「意味がない。でしょ?」
「………」
「ふふふ…だからそんな意味の無いこと考えないで、ね?せっかく私たちの生活が始まったんだから、
いいじゃない。」
気付けばお嬢は隣りにいた。失意のうちに、ベットに移動し、また俺はお嬢を抱いた。

……もとい、犯された。


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