鏡 Revenge 第1回
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それは世界を映す物
全てを逆さに映す物
逆さまの世界
「ハァ…ハァ…いゃ…」

まるで私達のよう
性格も
人生も
みんな逆さま
同じなのは外見だけ
「ハァ…いや、いや、イヤァァァ!!」
振り替えればそこには『私』
雨の真夜中。何度も転びながら逃げる。
「ウフフフフ…待ってよ、真由ちゃん…」
私はいくら走っても距離は開かない。イヤダイヤダ。つかまりたくない。
「いやぁ!こないで!こないで!」
いつの間にか暗い袋小路に入っていた。
まだ『私』は追って来る。手には光る刃物…。
「真奈ちゃん…逃げられないわよ…クスクス」
「あぐぅ!」
足がもつれて転んでしまった。もうダメ…起き上がる気力もない。
涼に捨てられて……私にはもう頼るべき物はない。そして今…自分の姉が…
グッ!
後ろから首に腕が回される。その右手には鋭いメスが光っている。
恐る恐る振り替えると、私の顔があった。自分でも見たことのない…異端染みた顔だった。
「ウフフフフ…つーかまーえたー。真由ちゃん、ひどいよ?あんな事お姉ちゃんにするなんて。
お姉ちゃんすごく傷ついたなぁ…。でもね、ちゃんと涼くんが助けに来てくれたでしょ?
私のために一生懸命になってくれる…私だけを愛してくれる…。
これが真由ちゃんと私の違いなのよ?わかる?アハハハ…」
頬にメスが当てられ、一筋の血が流れる。
「うぅ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…お姉ちゃん…ごめんなさい…」
「だめよぉ真由ちゃん…謝るぐらいなら始めからやるなって昔から言ってたでしょ?
…それにね、今回の事だけじゃないのよ?真由ちゃん、私が風邪引いた時、私のフリして涼くんといたでしょ?
みんな知ってるんだから…その時…私の涼くんに何かした?お姉ちゃんの宝物汚しちゃダメだよ?たとえば…」
下唇にメスが入る。余りの恐怖に、痛みさえ感じない…
「こことか…こことか…アハハハここもかな?」
さらに腕、足、胸……下腹部など…少しずつ傷つけていく。
「そんな悪い子には…もちろんお仕置が必要だよね…ね?ね?っヘヘヘ。そうだなぁ…どんなお仕置がいいかなぁ…」
そこで…私の意識が途絶えた…

「あら?クスクス…真由ちゃんたら、おねんねしちゃった…まあいっか…痛がる事無く、終われるんだから……
うーん…そうだ!お姉ちゃんと『一つ』になればいいんだよ…そうすれば、一緒に涼くんを愛せるよ?
ウフフフフ…お姉ちゃん優しいでしょお?いつだって真由ちゃんの味方なんだよ?涼くんの次に、だけどね?」
そうして私達はひとつになる…
光る刃物が、自分と同じ体に食い込み、切り刻んでいく。なにひとつためらいもなく、融合は進む…
「まずは…目。これで涼くんを見れるね…」・


「次に、鼻ね。ウフフフフ…涼くんていいにおいするからね…」







そして宴は始まった…
(ウフフフフ…涼くん…待っててね…)


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