月夜の華 第1回
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 私には幼馴染、最近になって恋人へと関係を変えた人がいる
 南雲和地・・・・スポーツ万能容姿端麗
 少女マンガに出てきても可笑しくない彼を持てて幸せなはずなのだけ・・・・ど!
 一つ、彼には欠点がある、それは・・・・
「どわ!」
 私が少し近づくと彼は私が近づいた分だけ私との距離を開けた
 1m、近くて遠いその距離を私は毎日のように歯がゆく思っていた
 彼の欠点それは、女性恐怖症・・・・女の人に触られただけで失神してしまうほどにそれは酷い
 理由は・・・・解らない
 でも小さい頃はそうではなかった、なにか理由があったんだ
 その理由を聞いても彼がはぐらかすだけ
 そして、少しは縮まったと思った距離も彼の女性恐怖症を境に途方もない距離に変わってしまった
 そんなある日私は賭けに出た
「あなたが私以上に好きな人が出来るまででいいから、付き合ってくれないかな」
 断られる、そう思った瞬間だった、彼は二つ返事で告白を受けてくれた
 け・・・・ど!
 和地の女性恐怖症は合いも変わらず、なのだ・・・・はぁ
 そりゃ、ため息も付きたくなるよ

 そんなこんなで今日も退屈でしかない日常が始まる
 けれども今日は少し違った
 転校生が来る、普段とは違う刺激を受けクラスが歓喜している
 まぁ、私にはあまり関係ない話だ
 担任が教室に入ってきた瞬間、クラスがさらに沸いた
「な、あぁぁぁ―――――!!!!!」
 その姿を見た瞬間私ははしたなく大声を上げて担任と共に転校生を指差した
「な、おい!優華どうしたんだよいきなり、大声上げて・・・・」
 和地が両手で耳を覆い私の奇声をシャットアウトしながらそう言ってきた
 けれどもそれどころではなかった、教壇に立ちにこやかに笑んでいたのは私の親友の月夜だった
「あれれ〜、大声出しちゃって、はしたないな〜」
 アニメ声が私に向けられる、瞬間クラスの男が沸き涙した
「おお!女神だ!この学校に二人目の女神が舞い降りた!」
 口々に二代目の女神が誕生しらことを喜んでいる
 月夜はおどけて見せると私の元に・・・・
「あれ?」
 私をすり抜け後ろの席の和地のほうへと歩みを進めた
「リアルで逢うのは初めてだね、アラトさん♪」
 アラト?なにそれ?この人の名前は和地なのに・・・・なにを言ってるの?
「キミ、誰・・・・?」
 知らなくて当然か、とばかりに月夜はため息を付くと前かがみになり和地と目線を合わせた
「月夜を逆にしてみてよ」
「夜月?ヨズキ!?」
 な、なに?まったく付いていけないんだけど
「おぉ〜、ようやく解ってくれたのね〜」
 月夜は嬉しそうに和地の首に手を回し思い切りに抱きついた
「な!」
 胸がもやもたした、明らかに嫉妬だ、けれども彼には女性恐怖症がある
 すぐに発作を起こして拒絶を・・・・
「―――――あわわ」
 自分でも信じられないといった感じで戸惑う和地
 なぜに?そうなるのですか?
 私は嫉妬に任せて二人を無理やりに引き離した
「ああ〜、リアルでのめぐり逢いを二人で抱擁という形で喜んでいたのに!!!」
 不満げな声を出し、月夜は私を可愛らしく睨んだ
「・・・・」
 収まらない、モヤモヤも嫉妬も・・・・
 この子は私がしたくて仕方のないことを平然とやってのけた
 親友とはいえ、許せなかった


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