4.0GHzの林檎(仮) 第1回
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少年-日野 竜-の朝は、まず間違いなく寝坊で始まる。
竜が高校に入る以前から父親はアメリカにいた。無論仕事で。
彼が中学を卒業すると、途端に母親が父のもとへと出て行った。

何でも、『高校生なら一人暮らしぐらいして見せなさい』とのこと。

言いたい事をはっきり言うのは、母親の汚点だと竜は考える。
話がそれた。

彼には幼馴染が一人いる。
とは言っても学園のアイドルとか呼ばれてたり、何でもこなす完璧超人な幼馴染ではない。
端的に言えば、自己中・強欲・飾り気重視な、凡百の女学生だ。
しかし竜は彼女に告白したこともある。

まぁ、平々凡々な容姿の竜である。結果は目に見えていた。
フラれたのは中学卒業の日で。
その日以来、竜は彼女と目を合わせることもなかった。

其れほどまでに酷く扱下ろされたのだ。

竜は毎朝、食パンにマヨネーズ(時々からしマヨ)を塗ってハムをはさんで、
簡易サンドイッチにして食べる。
どうやら今日はまだ余裕があったようで、落ち着いて朝食を摂れる。

『では、今日は昨日の議会で決まりました【一夫多妻制度】について特集を行いたいと思います』

何となくつけたテレヴィションから、この現代日本では聞きなれない単語が聞こえてきた。

…結局、その日テレビに夢中になってしまった竜は、生涯で初めて遅刻してしまうこととなった。


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