RedPepper 第4回
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僕は恋をされた。それも二人の女の子から。

花梨さん…彼女は僕と同じ部活、バドミントン部に所属している。
彼女と仲良くなったのは、足を捻った彼女を介抱してからのこと。
一人で廊下でうずくまる彼女に、肩を貸して保健室まで連れて行った。
あれほど機敏な動きができる彼女なのに、その体は猫のように柔らかくて、
ドキリとしたことを覚えている。
それから僕は、彼女を意識するようになった。…そして、それは彼女も同じだった。

…蔓さんとの付き合いは、まるで小説のような始まり方だった。
登校途中の電車の中で、不意の揺れにバランスを崩して、彼女と密着してしまったのだ。
そのとき彼女からふわりと立ち上った香りに、僕はついうっとりしてしまった。
それが失礼なことだと気づいたのは数秒後だった。顔が真っ赤になった。
そんな彼女は僕の隣の席で…親密になるのに、長くはかからなかった。

 

そして、今日の告白。
二人とも、僕に告白したっきり黙っていたけど、どちらも言いたい事をぐっと堪えているようだった。
…実際、堪えていたんだろう。重く険悪な雰囲気が漂っていたのだから。

もちろん、責任は僕にもある。
僕はその場で答えを出さなかった。
答えを引き伸ばしたのは僕だ。

 

………いったい

 

「どうしたらいいんだろう。」

 

僕は、一人呟いた。


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