しっとな日々 その2
[bottom]

いまだ昼休みの廊下を駆け抜け、和磨の在籍している教室前へと到達する。
いや、ぶっちゃけ自分のクラスなんだけどね。
「それで、告白した女の情報は?」
「うん、同じクラスの綾瀬 光っていう雌豚だよ」
ナチュラルに口悪いわね美星。まぁもう慣れたけどさ。
それにしても…
「綾瀬か…強敵ね」
そう、この上なく強敵なのだ、綾瀬 光という女は。
今時珍しい大和撫子を地で行く才女。
温室育ちのお嬢様って言葉がよく似合うのだこれが。
おまけにマイペースでボケボケ。
ある意味メイン張れるヒロインタイプね。
「で、どうする月夜、やっぱり机の中に生ゴミ入れて、
階段突き落とした後全力での踏みつけが理想かな?」
「だから周囲にまで影響ある嫌がらせの後に殺すなっての」
全く、殺るなら完全犯罪を目指さないと。
そう、それも惨めで悲惨で最高に残虐な死に方を…
あれ、結局同じかあたし?むしろ酷い?
「つ、月夜、大変大変っ」
「あによ?……って、なんじゃありゃぁっ!」
教室の後ろの扉から中を覗き込むと、そこには――――

「不動くん、美味しいですか?」
「ん」
「良かった、このから揚げも自信作なんですよ?」
「ん」

――――バカップルオーラ全開の二人が居た。

「……………………」
「美星美星、無言でカイザーナックル装備しない」
「なによ、そう言う月夜だってナイフ出してるじゃない」
おっといけない、一応学校だってこと忘れてたわ。
まぁドンマイ私、あんな光景見せられれば誰だってこうなるわよね。
現に、クラスに居る男子が殺意の視線で和磨睨んでるし。
でも流石だ和磨、全く動じてない。その苗字は伊達じゃないんだね。
「えぇい憎々しい憎々しい、和磨君に手作り弁当だなんて…私も食べて欲しいのに、
むしろ私が食われたいみたいな?」
「カニバリズムじゃないっての和磨は」
まぁ、私も食われたいけど。むしろ食べちゃいたいみたいな。
おっと、想像して少々濡れてしまった。
でも大丈夫、多い日でも安心ですから。
「で、とりあえずどうする?」
「そうだね、もう昼休みも終わるし、放課後までに各々で対策考えよう」
いまだにあの和磨が告白にOK出したことが信じられないが、
和磨とイチャイチャしているあの女は許せない。
なので、ちょいと痛い目に遭ってもらうことにしました、えぇ決定ですとも。

和磨と親しくしていいのは、あたしと美星だけって決まってるんだから…さ。


[top] [Back][list][Next: しっとな日々 その3]

しっとな日々 その2 inserted by FC2 system