うじひめっ! Vol.10
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 途轍もなくエロい夢を見た。
 が、目覚めた瞬間に内容を忘れてしまった。

「くそっ……! くそがっ……!」
 半眼のまま罵っていると。
「んぬ!?」
 唇が何かによって塞がれた。温かくて柔らかい、少し湿った感触。
「んー……ちゅっ、と」
 ここで「誰じゃ!?」と慌てふためくのはド素人。
 ダメ絶対音感を行住坐臥研ぎ澄ませたプロはうろたえない。
 声からして遥香か。
「……おい」
「あ? かずくん起きたー?」
 間近に寄っていた顔が徐々に離れていく。
 どうやらお目覚めのキスをしたところだったらしい。
 今更こいつに朝チューかまされたところで動揺することはないが、顔をしかめつつ。
「なんだよ、やめろよな」
 と注意だけは飛ばしておく。きっちり嫌がる素振りを示さないと、
 こいつはどこまでも付け上がっていくからな。
「フフー、イヤよイヤよもスキモノのうちだよね。おはよー」
「おはよう」
 挨拶を交わす。んっ、と一つ伸びをしてから布団を出ようとするが。
「……やけに重いな」
 頭は割合すっきりして変な感じはないのに、体の動きが妙に鈍かった。
「さっきから気になってるんだけどさー」
「ん?」
「かずくん、お布団がぽっこり膨らんでない?」
 言われて見下ろすと、まるで一夜で百貫デブに変貌したみたいに腹のあたりが盛り上がっている。
「……臨月?」
「なわけあるか」
 吐き捨てた。やけに重たいと思ったのはこいつのせいだったか。
 腹のあたりにはもわもわ〜とぬくもりが伝わってくるような――
 それでいてスースーと涼しい冷感があった。若干隙間が空いてるせいか。
 なんじゃいこりゃ。首を傾げつつ、布団をめくろうと端を掴む。
 不意に脳裏を一つの映像がよぎる。『ゴッドファーザー』の一作目。
 あの有名な、ベッドに切断された馬の首が突っ込まれていて血だらけの阿鼻叫喚になるシーン。
 マフィア流のバッドモーニングコールだ。
 ま、まさかあれと同じことが――?
 恐る恐る掛け布団をめくっていく。

「ギャー!」

 そこにはなんと両手両足を切断された盲目の銀髪少女が!
「あ……おはようございます……和彦さん」
 ――ってフォイレじゃねえか。なんでお前が俺にのっかってんだよ。
「爺や……が申しておりました。『夜這い・同衾・添い寝……男の高ぶる三拍子にございます』
……と」
 ほう、それを実践したってのか。
 人化したときは超絶に可憐なフェイスをしているこいつが添い寝してくれるというのは、
 まあ、なかなか気分の良いことではあるが……どうせなら冬場にしてくれ。
 夏場はぬくもりを越えて熱いっての。
 おかげで汗どろどろ、胸から腹と下半身のあたりが気持ち悪――
「まったく何してんの、あんたらは、アッハハ……えッ!?」
 俺たちの遣り取りに苦笑していた遥香が突然ぎょっと目を剥いた。
「? なンだ?」
 咄嗟に小池一夫口調のセリフを発しながら視線の先を目で追う。
 ――敷布団。
 股間のあたりが血だらけになっていた。

 馬の首がフラッシュバックする。
 バカな。フォイレは生まれつき四肢がないんであって、昨日今日に切り落とされたわけじゃねえ。
 傷口が開いて血が噴き出すなんてことはないはずだ。
「ん、んん……!」
 しかし少女はまるで傷が痛むみたいに眉根を寄せている。
「なんだ、どっか怪我でもしたのか!?」
 慌てて抱え上げ、確認しようとして――何かが引っ掛かった。
「ぐっ!?」
 子どものとき、加減を知らないクソガキが思いっくそ股間を握ってきて悶絶したこととかないか?
 あれに似た感じがズキューンと下腹部を襲った。
 い、いったいなんなんだ……怪我をしているのは俺の方か?
 痛みのする箇所を確認する。
 ――ち○こだ。ち○こが痛がっていた。
 ムスコの苦しむ姿に親心が突き動かされかけるが、それ以上の驚愕によって絶句させられた。
 えーと。気のせいでしょうか。
 俺のギンギンに朝勃ちした陰茎が、抱え上げた少女のドレスの裾に消えていて。
 裾を払ってみると、その、未熟な性器――いわゆる無毛でぷっくりした秘部に。
 亀頭とか、全体の半分くらいが呑み込まれるようにずっぷり突き刺さっており。
 こう、「抜き差しならぬ」って具合にぎっちりハマって動かない肉楔になってて。
 生々しく痛々しく押し広げられた幼い陰唇がヒクヒクしてるんだけど。
 そこから鮮血が溢れていて陰毛やシーツが赤黒く染まってんだけど。
 ハ、ハハ。まさかな。
 そんな「朝起きたらメッチャ犯してました」なんてことがあるわけ……
「は、初めて――でしたの……」
 ポッと頬を染めて俯くフォイレ。俺の陽根を収めた秘壺の襞が恥らうようにきゅっとすぼまった。
「うおっ!?」
 あ、やべえ。これ我慢できないわ。
 かくしてビュクビュクッ――と。
 事情も把握しきれぬまま、初めて体験する異性の膣内で朝一番の濃い精液が勢い良く放出された。
 脳みそを突き上げる射精感と、抱えた手に伝わる肌の柔らかさ、
 ふわっと漂う銀髪の香りに包まれながら。
「―――――――――」
 さっきから背中を突き刺してくる遥香の視線にどう応えたものか、
 頭が真っ白で何も思いつかなかった。

 エロい夢だと信じ込んでいたが、どうやら布団に潜り込んできた
 ふんわり幼女を寝ぼけて襲ってしまったらしく。
 まさしく夢うつつのうちにチェリーボーイを卒業してしまっていたのだった。
 呆然としつつ、吐精し終わって萎えてきたペニスを処女喪失したばかりの姫君から引き抜く。
「あぅ……」
 ごぽぉっ――泡立つ粘液が、マラーさんを形状記憶しちゃって
 パッカリな秘穴を出口に逆流してきた。
 すごい量だ。指を挿れて確認するまでもなかった。
 あっという間にシーツに垂れて新たな染みをつくる。
 こ、これが本物の「中出しドロリ」か……まだAVでも見たことなかったのに、
 先に肉眼で目撃するハメになるとは。
「どう、でした、か? 気持ち――よかった、ですの?」
 ハアハアと息を荒げて尋ねた。
「いや。それが、まったく記憶にございませんで……」
 疑獄事件の証人風に返答する俺。実際、最後の射精時以外は「エロい夢」という形でしか
 印象に残ってない。
「そう、です……か……なら、もう一回、しますの?」
 目を閉じ息も絶え絶えに微笑む異国の銀髪少女に、一度で死ぬほどヤワではないと
 股間の砲塔が再奮起。
 思わず頷きそうになったとき。
 ――背後から底冷えするような声が響いてきた。

「き……貴様ァッ……!」


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