姉妹日記 『もう一つの姉妹の形』 第13話C
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 とどめ、だ・・・・長らく続いたこの戦いもようやく終わりを告げる
 まずはこの女・・・・夏美からだ
 この女が一番許せない、私の目の前で涼さんの唇を奪い、そして私から寝取った
「涼さん、見ていてください、今から・・・・最後の治療を開始しますからね」
 ニコッと笑んで私はナイフを天空に向かって思い切り振り上げた
「死ねぇぇぇぇぇ――――――!!!!!!」
 痛みにもだえながらも夏美は迫る刃先を察知し身体を横にずらした
 私はすばやく地面からナイフを抜くとまた振り上げた
「しぶといんだよ・・・・はやく死んじゃいなよ・・・・醜女」
「あぁあああぁぁあぁぁ!!!!!」
 急に聞こえてきた奇声と共に私の脚から痛みが前進を巡った
 見ると夏美に馬乗りになり正座のような形を取っていた私の脚にナイフの先が食い込んでいた
 口にナイフを咥えて必死で私の脚にナイフを食い込まそうとする冬香
 なぜ、この女がナイフを?
 そっか、さっき蹴飛ばされたやつか
「お兄ちゃんをいじめる人も寝取ろうとする女も、私が全部やっつけてやる!」
 冬香に意識を集中させたのがまずかった、夏美が最後の力を振り絞り私を押しのけた
 なす術なく私の身体は地面に投げ出され叩きつけられた
 その拍子に落ちて地面に転がったナイフを夏美は血に染まった手で掴むと私の上に馬乗りになった
 さっきまで私がとっていたポジションを取られ私は身動きがとれなくなってしまった
「死ぬのはあんたよ、涼ちゃんを苦しめる、泥棒猫が――――!!!!!」
 肩先に切っ先が食い込んだ
 脚のときとは比べ物にならないほどの痛みが私を襲った
「まだまだよ、あんたには地獄を見せてやるんだから・・・・ふふふ」
 冬香も私の腕を拘束し不敵に笑んだ

「だ、大丈夫?」
 涼ちゃんが心配げに私を見つめ包帯を取り替える
「あ、お姉ちゃんばかりずる〜い!お兄ちゃん!私も私も!!」
 涼ちゃんはやれやれと方をすかすと今度は冬香の包帯を取り替え始める
 そして私は衣装ダンスの隙間から覗く憎悪に満ちた瞳を見つめ微笑んだ
 中にはもちろん、南条秋乃を縛って入れている
 なぜ警察に突き出さなかったかって?
 そんなことしても私の気が晴れないからだ
 あの出来事は強盗に刺されたとして南条秋乃のことは一切口にしなかった
 被害者の私が犯人を匿うなどと思われるわけもなく案外簡単にこの状況に持ち込めた
 それと、涼ちゃんはこのことを知らない
 だって、その方が涼ちゃんの本音を聞かせられるでしょ?
「ふぅ〜、終わった〜」
「涼ちゃ〜ん、お姉ちゃん〜涼ちゃんに癒してもらいたいな〜、なんて」
「あ、私も〜」
 こうして私たちは涼ちゃんと私たちの行為をあの女に見せ付けてやった
「あん!あぁぁん!涼ちゃん好きよ!!!!!」
「僕もだよ!夏姉ちゃん!」
「私は〜!?ねぇ私は!お兄ちゃん!!!!」
「冬香も、大好きだよ!!!」
 凄まじい殺気を背中ぬ受けながら私たちは何時終わるとも知らない夜の営みを続けた


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