***** 第1回
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「お?」
登校中。いきなり雨が降ってきた。傘は無い。いかんいかん、酸性雨だ。
は、禿げてしまうでおじゃる!
「ダーッシュ!!」
その瞬間、俺は世界を代表出来るほどのスプリンターとなった。いける!これなら世界新…
「きゃ!」
「うおあ!?」
は狙えなかった。角から現れた美少女(脳内決定事項)とごっつんこごめんなさいイベントを
起こしてしまったからだ。
こうなったら世界新なんて目じゃないね。滅多に無いムフフイベントを堪能するだけだ!
「お嬢さん、大丈夫ですか?お怪我は?」
「いったた…はい、大丈夫…って、なによ。蒼也じゃない。」
興ざめだ。これなら世界新を狙った方が良かった。俺は何事もなかったかの様に、
再びスプリンターとなった。が。
ビタン!
突如足をすくわれ、無様にも潰れたカエルの様に地面に突っ伏してしまった。
もしや…オーバーワークか……くっ!あと一歩のところで…動けよ!俺の足!!
「なぁに無視しようとしてんのかなぁ?」
違った。俺の足をさっきぶつかった処女(訂正版)が掴んでいたのだった。
「ひ、ひぃ。お許しを!紅様!轢いたら怖くなったんです!」

「あたしゃ轢き逃げされたんかい?」
「いえ、なんのことですか?轢き逃げ?はん、なんの証拠があって言ってるんですか?
誤認逮捕は罰金ものですぜ?」
「これ、あんたの本ね。」
そこに掲げられたのは俺の秘蔵本、通称オカズだった。健全な男子諸君は理解出来るだろう。
が、ここで慌てる様なへまはしない。
「おいおい、誤認逮捕の次は偽造証拠かい?政府も腐ったもん……」
「エロ本に名前書いてる人って初めて見たわ。」
「それぼくんだい!返せぇ!」
「………」
「………」
雨穿つ中、びしょ濡れになりながらコントを繰り広げる二人。この虚しさは相当だ。
「……風邪引く前に、行きましょう。」
「そうだね。」
もうここまで濡れたら関係ない。ゆっくりと歩いて登校した………
学校
「ピーーーッ!!!」
「わあ!急に機械音が!?」
前方にターゲット発見!今度こそ美少女間違いありません。ターゲットロック……レディ……ゴウ!!
脳内シグナルと共に、再度地面を蹴りだし、加速する。今日の俺、朝から走りっ放しだなぁ。
グッジョブ!マイフット!

美少女と徐々に距離を詰める200…150……100……50……もうすこしで射程圏内!!!
45……30……10…5…キタ!!大股で一歩を踏み出し、瞬間的に間合いを詰める。
相手が歩いている速度を瞬時計算。腕を下から振り上げ、更に狙いを絞る。
「もらった!!」
あとは取ったも当然。地面をすくう様に腕を振りおろし……アッパーの様に振り上げるべし!!!
「ヒィヤッホォーウ!!!!」
ブァア!
「きゃあ!?」
秘技、スカートめくり改!!決まった!後ろからめくっても前の裾もまくり上がってしまう凶技。
「う、兎!兎パンツ!!」
印象とピッタリのパンツだ。それを見た瞬間、俺のボルテージはMAXになる。
「おー!!!おー!!!!おーーブハッ!」
歓喜の舞いをおどっているところに、紅からスライディングタックルを食らう。
「ばっかじゃないの!?朝っぱらからスカートめくりだなんて、
小学生のガキでもしないんじゃないの?」
「ふっ、マダム。かまってもらえないからって拗ねるなよ。お前もスカート穿いてきたら
めくってやるよ。あ、パンツはよこしまね。」

「ばば、馬鹿!あんたにめくって欲しくなんかないわよ。」
「あのー…」
「それはどうかな?少なくともお前のフラグは立ちつつある!スカートを穿くイベントが
起きてもおかしくないはずだ!」
「す、スカートめくりっぱなし……」
「……なによ、フラグって。ありえないし。っていうか空ちゃん弄るだけ弄って
放置するのやめなさいよ。」
「あはっ、ごめん、空ちゃん。今日は元気?」
「はい、元気で…」
「うん、兎のパンツはピッタリだと思うよ。明日は典型的なクマと言う路線で……ブッ!」
「セクハラ!女の敵!!」
「ああ、そう照れるなって。好きな子ほどいじめたくなっちゃうあれだろ?あれ。
っと、ところで海ちゃんは?」
「ええ、雨が降ってるから休みです。」
「くっ……いつものことながら脈絡のない奴……」
紅が怒りに震えていたが今はスルーだ。
ピンポンパンポン
朝の潤いで心身共に満たしていると、これまた古典的なチャイムがなる。
『Eの1045、Eの1045。至急、医療室まで来なさい。』
って俺じゃん?なんだよもー。空気よめって。
「だそうで、俺は授業免除だ。」
「…最初っからないじゃない。」
「だはは。そっだね。んじゃな。」
そういいのこし、急いで医療室へ向かった……


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