教授と助手とロリコンの微笑み 第1部 エピローグ
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「なんか散々な日でしたね」
「まったくだわ」
あちこち殴られて歩くのが辛そうな弥生さんを、樹はおぶって帰路につきながら話しかけた。
あのあと警察が来て、とりもちに捕まった三人は逮捕されたが、教授を人質にした男は
逃走してしまった。まあ指名手配されるから逮捕は時間の問題だろう。
「しかし弥生さん、教授大丈夫ですか?」
「手加減はしたわよ、気持ち分ぐらいは」
犯人の一人が逃走したあと、警察が来るまで怪我の治療をしている間に今までの経緯を話した時、
盗聴器とGPS携帯がばれてブチ切れた弥生さんが教授を殴ってたっけ。
「携帯は樹から買ってもらった物だから別にいいけど、あんの教授、携帯を変なことに利用して…」
「でもそのおかげで弥生さんを助けられたんですし…」
「なに言ってるの!そもそもあの教授が私に変な薬を飲ませるから…だから…樹が…」
やばい、弥生さんドンドン暗くなっている!なにか話題を変えないと
「そ、そういえば教授って警察と顔見知りなんですね。あれには驚きました!」
警察が来てくれた理由はどうやら教授が警察のえらい人に電話で連絡してくれたらしい。
ただ教授が「まあ社会に責任ある人が「あの」写真を公表したらどうなるかのー。」
って言ってたようだけど深く追求するのはよそう。
しばらく沈黙が続き、樹はふと思い出した。首謀者が、弥生さんもよく知っている
後藤教授だったというのを聞いた時の弥生さんの無表情を…。
そんなことを考えていたとき、弥生さんが
「今回のことさ…」
「はい…。」
「捕らわれていた時に私なりに考えていたんだけど、あそこに私がいるって知っているのは
後藤教授だけだったんだよね…」
「………」
「だから…首謀者の名前を聞いた時…ああやっぱり…って思ったのよね。」
弥生さん………
「あれだけ信頼していた人に…裏切られると…やっぱり私は1人なんだ…ってね」
それを聞いた俺は心に溢れる思いを、感情をそのまま言った
「大丈夫です!!ここにいます!!」
「樹?」
「なにがあっても俺だけは!弥生さんを裏切らないし、一人にもしませんよ!教授だってそうです!」
弥生さんは何も言わない。ただ鼻をすする音が聞こえた。
「全く…ロリコン教授はともかく…樹はお人好しなんだから…グスッ、そんなの知っているわよ…でも…」
そのあとは続かない。でも心の中で言った。私の精一杯の、正直な言葉

(ありがとう)

このあと弥生は、当座の寝床として樹の部屋に住むことになりました。
それが当座か、もしかしたら永久か。

                    FIN


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