教授と助手とロリコンの微笑み 第1部 第3話
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「やはりあなたは泥棒猫だったのね…今までよくも騙してくれたわね!」
「よく言うじゃない…騙される方が悪いってね。」
今世紀最凶のホラーというから見てみたが内容は簡単に言うと三角関係のもつれによるドロドロ劇のようだ。
そんなに恐くはないが、鋸を振り回す黒髪の女性はちょっとだけ恐かったな。

映画館から出ると晴香ちゃんが
「樹さ〜ん、こ、恐かったよー。」
「え?そ、そう?」
映画が始まって終始キャー!とか叫んで手握ってきたり抱きついてきたりしていたから、
やっぱりなんだかんだ言っても、晴香ちゃんも女性ってことだな。いや、
疑ったことはないけどさ

「樹さん、お腹すきませんか?近くにオススメのレストランがありますから行ってみましょ!」
「あ、ちょちょっと晴香ちゃん、そんなに引っ張らないで。」
なんか今日は晴香ちゃんにリードされっぱなしだなー。
そういえばそろそろ弥生さんの方も終わったかな?あとで電話してどうなったか聞いてみるか。


「なるほど、よくわかったよ。しかし弥生くんも大変だったね。」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。ほかに頼る人もいなかったので…」
この人は後藤毅教授。私が入学式の時に起こした暴行事件で、正当防衛を証明してくれた恩人で、
公私ともに相談に乗ってもらったりと、とても世話になった人だ。
「さて、それで当座の寝床だが、弥生くんさえよければ敷地内の女子寮はどうだ?」
「女子寮ですか?でも寮は…」そう言うと教授は
「わかっている、取り壊しの件だろ?」
そう、寮は近日中に取り壊しの予定と聞いているが。
「近日中に取り壊すはずだったのだが、急遽予定が変わってな、無期限延期になったのだよ。」
「え?本当ですか?」
なんという幸運だろう。やはり後藤教授に相談して良かった。
「ぜひ、入寮させて下さい。お願い致します。」

10分後…………

プルル…プルル…プルル…ピッ
「……ああ、獲物が見つかった。今女子寮に向かっている。……理由は分からんが
10歳くらいになっているから……大丈夫だ、「あれ」はまだ未経験だろう。
10歳児の体に未経験、お得意さん辺りなら言い値で買ってくれるだろう……ああ、しくじるなよ。」
ピッ

くっくっくっ…これで借金も返済のメドがついたか…弥生くん
…悪く思うなよ…

女子寮についてみると建物は明かりがついてなく、辺りは街灯1つもないほど真っ暗だった。
(いくら構内の外れとはいえ、薄気味悪いな。)
僅かな不安を覚えつつも他に行くあてもないので、とりあえず中に入り教授が指示した
101号室へ行ってみた。

部屋に入り、電気をつけてみるとさすがに取り壊す予定の建物だっただけあって
壁や床などあちこちが相当くたびれているようだ。
「まあ所詮当座の寝床だから贅沢は言えないな。」
荷物を置いて座ると、急にドッと疲れてきた。
「ああ…今日は疲れた…もうこんな時間か…」
時計を見た時、ふと樹の顔が浮かんだ
(そういえば今頃デートの真っ最中だな…しかし…)
数時間前門の所で見た彼女を思い出し
(ああいうのが樹の趣味なのか?私には挙動不審者にしか見えんが…)
さて、いつまでもこんなこと考えても仕方ない。
「そろそろ寝るか。」
そう言って立ち上がったその時

パッ

急に電気が消えたと思ったら、ベランダとドアから何者かが侵入してきた!
(!)
抵抗の構えをしようと動く前に、中の一人が手に持っていた機械を体に押し当ててスイッチを入れた。

鋭い音と一瞬の閃光とともに体は動かなくなった。
(これはスタンガン…なんで…)
それを最後に全ての思考は深い闇の中へ沈んでいった

 

「ねぇ〜樹さん〜私のこと、ア・イ・シ・テ・ル?」
「い、いきなりどうしたの?」
食事が終わったらさてどうしよう、と考えていた時いきなり晴香ちゃんに
腕を引っ張られてこの公園にきてしまった。
さすがに夜の公園はカップルが溢れていて、物陰ではキスどころかエッチもしているようだ。
辺りを伺っていると、腕に晴香ちゃんが絡みついてきて甘える声で
「だって〜、いっつも樹さんったらはっきりしてくれないし、
付き合いも長いからそろそろ……ね♪」
「………」

またこの話か…自分としてはまだ早いと思うんだけど晴香ちゃ ん、ことあるごとに言ってくるんだよな…
なんて言ってはぐらかそう?そう考えていると急に背筋に悪寒が走った。
見ると晴香ちゃんの目が不気味に光っていた。
「まさか樹さん…他に女が…」
「いないいないいない!イナイデスヨ!」
いきなりなんで声が裏返っちゃったけどやばい、あの目をした時の晴香ちゃんは危険だ!!
とにかく今は誤解を解かないと!
「大体俺に女がいるわけないだろ?週に何回も会ってるし、会わない日はアルバイトしてるしで
チャンスすらないよ。」
そういうと晴香ちゃんの目が元に戻った。
「そうよね。私以外の女の匂いもしないし…、ごめんなさい疑ったりして…。」
「い、いやいいんだよ」

危なかった…あの目を見たのは久しぶりだ…。今まで何度か俺が他の女の子と話したりしている所を
見られると、あの目で奇声をあげながら女の子に襲い掛かってたっけ。
それで大人しくさせるために付き合い始めたんだよな。う〜ん、今考えるとすごい理由だな。
「それじゃあ〜そろそろ〜私たちの体で愛を語り合いませんか?」
いや、それ男が言うセリフなんですけど。…とはいえ自分も立派な男ですし、
その誘いは受ける気マンマンですよ。返事しよ うと口を開けたその時、

にくい〜あんちくしょうの〜かおめがけ〜たたけ!たたけ!たたけ〜♪
「あ、電話だ。樹さん、ちょっとすいません」
そう言うとハンドバックから携帯を取り出して
「はい…はい…何の用よ麻奈美、今日はデートだって知っているでしょ?
…うん…え?本当?…うんわかった」ピッ 「樹さん…」
「うん?どうしたの?」
見ると青ざめた顔をして
「今日実験棟で爆発があったのは知ってますか?」
ギクッ!「うん、知ってるよ。」(何しろ当事者だし)
「爆発があった部屋の真下に私が製作した、ブロンズ像と絵画を保管していたのですが…」
目に涙をいっぱいためて
「爆発の部屋の床が崩れて、私のブロンズ像と絵画が瓦礫に埋まっちゃったんですよー!」
「え!」(ああ…晴香ちゃんごめんよ…でも恨むなら教授を恨んでくれ…)
どう慰めようかとオロオロしていたら晴香ちゃんが涙を拭いて
「大丈夫です!この五十嵐晴香、この程度ぐらいではへこたれたりしませんよ。
名残惜しいですがちょっと行ってきます。じゃ!」
そう言うとうわーん!と泣きながら走って大学の方へ行った。
(あれ、たしか提出物って言ってたし、破壊されていたら単位 もやばいかも…)
するとポケットに入っていた携帯がぶるぶる震えていた。電話だ。
相手先を見ると「稲本教授」(教授がなんで?)
ピッ「教授、どうしたんですか?」
「おお樹くんデートの所すまんが一大事だ!至急私のプライベ ートルームまで来てくれ。」
「い、いきなりどうしたんですか?」
「弥生くんの身が危険なのだ!詳しくは着いたら話すから至急来てくれ!」
それを聞いた瞬間、大学まで全速力で走っていた。
(一体なにがあったんだ?弥生さん、無事でいてくれ!)


次回第4話「…ありがとう」


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