BLOOD 本編 第7章
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 積極的に舌を絡ませ舐る小さな唇
 ゼルが息苦しさに顔を離そうとしたがリストはそれを許さずにもっともっとと深く口付ける
 心なしか辺りが暗くなるのを感じゼルの目が一点に集中した
 プレシアの居る部屋にゼルの視線が行ったのを感じリストは目を大きく見開いた
 その瞬間ドアが蹴破られて黒い影がリストに飛び掛った
「殺してやる・・・・ゼルに近づくな!!!!」
 リストはその影の正体がプレシアだと解ると口元を歪め勝ち誇った
「く、ふふふ・・・・悔しい?兄様が自分の目の前で他の女と愛し合おうとしているのが?」
 憎悪の念を隠すことなくぶつけるプレシアにリストは軽い優越感を感じながら肩を掴んだ
 プレシアの腕を自らの手で掴んだ
「ふふふ・・・・・く・・・・・ふ、はははは!」
 歓喜の声と共にプレシアの腕が吹き飛んだ
「が・・・・うぐ!」
 危険を察しこれ以上は深追いできないと判断しプレシアは手を離した
「痛い?痛い?・・・・・痛いよね・・・・でもね、私も痛いのよ・・・・だって・・・・
 兄様が一番に大事に想っているのはいつもあなただから!」
 嫉妬と憎悪の感情を爆発させたリスト
「どれだけ想っても兄様が見ているのはいつもあんた・・・・憎んだわ」
 顔をうつむけ顔に影を落とす
 静寂の間を作りリストはゆっくりと顔を上げた
「殺してやりたいほどね・・・・・」
 冷たさの中に底知れない嫉妬を感じさせる声
「さぁ、始めましょう・・・・私とあなたの・・・・宴を」
 リストが床に手を付くと床から無数のリストが現れた
 分身したかのような無数に出現するリストを捉えプレシアは深く深呼吸した
「許さない・・・・ゼルに手を出す女は・・・・誰であろうと!!!」
 先ほどまで腕があったプレシアの腕と身体の結合部から血が噴出しそれが手の形を作り出す
 それだけではないプレシアの手には身の丈よりも大きい大剣が握られている
 肌の色を取り戻した自らの手がちゃんと動くか確認し微笑むプレシア
 両手で銀色に輝く血の大剣を握りプレシアは無数に襲い掛かってくるリストを切り裂いていく
「やめろ!プレシア!リスト!!!!!」
 止めに入ろうとするゼルをリストの分身たちが押さえ込みそれを阻止する
「兄様・・・・兄様はそこで見ていてください・・・・あの女が八つ裂きにされる姿を!」
 大勢のリストの中から一人だけそれだとわかるような声がした
 大きなホールのような大広間の純白の絨毯が次第に血に染まってく

 後ろかから掴みかかるリストの腕を切り落とし
 前から飛び掛ってくるリストの心臓を貫く
 血が噴出し白いプレシアの肌が赤に染まる
「が・・・あぐ!」
 先ほど真っ二つに切り裂いたリストがプレシアの脚に噛み付いた
 片方だけになった身体でリストはプレシアの肌を噛み裂いた
 肉片をくちゃくちゃさせながら半分だけのリストがにやにや笑んだ
 プレシアは脚の激痛に構う事無く地面で今まで自分の一部だったものを音を立てて噛み砕き
 半分だけになったリストの首をはねた
 すぐに頭上から降りてきたリストの頭を左手で掴み近くにいるリストに投げつける
 そのまま駆けてぶつかり倒れこむ寸前のリスト二人の胸を突き刺す
「死ね!!!!」
 後ろからダガーを持ったリストが襲い掛かる
 貫いたリスト二人をそのままにして大剣を横に振るい襲い掛かってきたリストにぶつける
 へばりつくように大剣にくっ付いていた二人のリストが反動で吹き飛び華奢な体が地面に叩きつけられた
 このままじゃキリがない・・・・プレシアは目を閉じると大剣を後ろに引いた
 目が開かれた瞬間プレシアは猛然と直線に進み飛び掛ってくるリストを真っ二つに切り裂き
 上半身と下半身だけにしてく
 プレシアの通る道はリストの分身の上半身と下半身が横たわり彼女の通った道を血に染めていた
 プレシアがようやく本物のリストをその視界の先に捉え大剣を振り上げた
 リストは口に剣を咥えてそれを待ち構える
 間合いに入るやすぐにプレシアは大剣を振り下ろす
「無駄よ・・・・無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!」
 剣を咥えながら「きゃはは」と笑い声と共に器用に叫ぶリスト
「死ね・・・・死ね・・・・・・・・死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇ!!!!」
 リストは懐に飛び込むとプレシアの腕を掴んだ
 悔しそうにプレシアは叫びリストは「きゃはは」と笑んだ
 対照的な二人を表すかのようにリストは首を横に振りプレシアの首元を切り裂いた
「きゃはは・・・・噴いた・・・・血がた〜っくさん」

 返り血を浴びながら高ぶる気持ちを隠す事無くリストは無邪気に笑った
 白目を剥いたプレシアの胸に口から落とした剣を突き刺す
 血が集約されリストの剣に血が集まっていく
 勝利を確信したリストの腕をプレシアの小さな手が掴んだ
 そのまま力でリストの剣を引き抜くとプレシアは床に大剣をぶつけ引きずり火花を立てながら
 後ろに下がり体制を直すリストに向かう
 リストは慌てて口に剣を咥ると下から物凄い勢いで引き上げられる大剣を顔を下に向けて受け止めた
 クルッと回転し裏拳をプレシアの顔面に叩きつけるリスト
 プレシアはニタっと笑んでリストの口に手を突っ込んで剣を奪い取り裏拳を放った腕とは
 反対の腕を掴んだ
 大剣を床に落とし掴んだ手に剣を突き刺した
 手から腕に侵入した刀身が曲がった肘から突き出た
「ぐ・・・くは!」
 痛みに顔を歪めるリスト
 腕に剣を突き刺したまま手から離し床に落とした大剣を掴むプレシア
「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄―――――っ!!!」
 自らに食い込む剣を引き抜くとそのまま無事な右手に構える
「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね―――――っ!!!」
 ひるむ事無くプレシアはリストに向かいお互いの剣が交差した


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