とらとらシスター 第17回
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 結局学校を休んでしまった。皆勤賞を目指していた訳でも無いけれどそれなりに頑張っていたし、
 何より家に帰るのが辛かったから必死で拒否をした。だが僕の顔色が相当悪かったのだろう、
 青海は少し辛そうな表情をして僕を説得してくれた。一度休むと決めてしまえば
 そこからの展開はお決まりのもので、既に仕事に出ていた母さんの代わりに
 僕を家まで送り届けてくれたり、ユキさんが昼食用にとレンジで温めるだけの
 簡単な雑炊を作ってくれたりした。そして青海は僕が寝るまで、頭を撫でてくれた。
 やや恥ずかしいという気持ちはあったものの、何故かとても安心ができた。
 聞けば登校中に寝ているときもそうしていたらしく、目が覚めたときに
 気分が少し良くなっていたのも、もしかしたらそのお陰なのかもしれない。
 本当に頭が下がる。
 僕なんかのために、根気良く休むことを勧めてきたり、寝るまで付き添ってくれたり。
 もったいないくらいだ、もったいないお化けでも出てきて罰を与えてくれたら
 少しは楽になるんだろうか。その質問に答えを出してくれる人は居ない、
 目が覚めたら一人だったというのはこんなに辛いものなのかと思う。
 時計を見た。
 針はもう午後の五時を指していて、かなり長い時間眠っていたことを教えてくれた。
 今くらいになれば授業も委員会も終わっている筈で、もしかしたら
 青海が来てくれるのかもしれない時間帯だ。そんな淡い期待を持ちながら部屋の入口を見て、
 自分の変わった部分に気が付いた。

 青海を、待っている。
 弱っているところに優しくされたから勘違いしたのかもしれないし、更に質が悪いことを
 考えれば、ただ青海の元へと逃げているだけなのかもしれない。
 そうだとすれば青海に失礼だけど、それでも僕は青海を求めていた。多分、好きになっている。
 会いたい。
 暫く見た後で、そう上手い話は無いかと諦め布団に潜る。寝過ぎたせいなのか
 心も体もかなり楽になったけれども、眠気は全く無いが目を閉じた。
 軽音。
 足音がして、誰かが部屋に近付いてくるのが分かる。
「青海?」
 祈りが届いたのかもしれないと、体を起こして再び入口を見た。鍵は僕が持っているから
 玄関の錠は青海がかけている筈がないので、会おうと思って来てくれれば
 簡単に入ることが出来る筈だ。だから青海が会いに来ている可能性は否定できないし、
 また来るということも言っていたから期待をして良いのかもしれない。
 青海にしてみれば僕がまだ寝ている可能性もあるから、そのことを気遣ってか、
 ゆっくりとした速度で歩いてきている。その優しさに、ますます青海を好きになりそうだ。
 電子音。
 こんなときに誰だろう、無粋な奴め。
 携帯を開いてメールの確認してみると、送り主は青海だった。嫌な予感がして内容を見る。
 そこに書かれているのは、委員会が長引いて今日は来れないということとそのことを詫びる旨。
 そして、僕への愛の言葉。絵文字も顔文字も無い彼女らしい文章や、ストレートな表現に
 青海という存在を感じる。

 軽音。
 余韻に浸っていた僕を現実に引き戻したのは、少しづつ大きくなってくる誰かの足音。
 青海でなければ、誰だろう。ユキさんに何か頼んで来てもらったのだろうか、
 それとも母さんが仕事を早退して帰ってきたのだろうか、それとも父さんか。
 違う。
 必死に否定材料を探していたけれど、メールを見てからずっと頭に浮かんでいる答えが
 多分正解だ。時間はもう午後の五時、部活や委員会に入っている生徒でももう帰宅をしていても
 おかしくない、そんな時間。ついさっきにそう思ったのは僕自身だ。
 戸が、開く。
 見えたのは、一番会いたくなかった相手。
「虎徹ちゃん、ただいまぁ」
 姉さんが笑顔で、ゆっくりと部屋に入ってくる。帰宅してすぐに着替えたらしく、
 私服姿だがそれ自体は問題じゃない。いつものことだ、何も変わりない。
 問題なのは、
「姉さん、何を、着てるんだ」
 僕のシャツと半パンを着ていることだ。
「あ、ごめんねぇ。ちょっと借りてるよぉ」
 珍しいことじゃない、どこの家庭でもあることだ。
 必死に自分に言い聞かせるが、湧き上がってきた恐怖は簡単に治まってくれない。
 普通の男なら例え身内でも色っぽいと思ってしまうような格好も、
 今では恐怖の対象にしか見えず、思わず後退した。肉感的な脚も細くて綺麗な腕も、
 下着を着けていないのか僅かに浮き出た胸の先端も、ただの凶器だ。
「大丈夫? 虎徹ちゃん、まだ顔色が悪いよ」

「気にしないで、だいじょ」
 大丈夫、と言いかけて布団に倒れこんだ。もちろん自分の意思なんかではなく、
「まだ、寝てなきゃ」
 濃い笑みを浮かべた姉さんが、押し倒すようにしたからだ。体を重ねて肌や乳を
 擦りつけるようにして顔を近付け、耳元で囁くように言ってくる。
 甘い匂いの息が首筋を通り、耳の側をかすめて口や鼻孔へと侵入し、心を溶かしていく。
「本当に、大丈夫だか…」
 それに抵抗し、朦朧としてくる思考の中からやっと絞りだした言葉も、
 唇を重ねたことで強制的に途切れさせられた。次の言葉を発しようにも
 舌が絡めとられて喋ることが出来ない。呼吸をするのも、辛い。
「辛いときには、体を重ねるのが一番だよ」
 言葉の意味を理解する前に、直接視界に答えが来た。昨日のように騎乗位姿勢で上体を起こすと、
 半パンのジッパーを下げていく。見えてくるのは下着を履いていない局部で、
 そこはいつから濡れていたのか洪水と言って良い程に濡れていた。
「な、に、を」
「あはっ」
 腰を上げると割れ目を開くように指で拡げ、見せつけるように掻き回した。
 粘着質な水の音が響き、姉さんの指を濡らしていく。
「見て、虎徹ちゃんが居るだけでこんなになるんだよ。それに」
 姉さんの手が寝間着代わりのジャージとパンツを下ろし、
「虎徹ちゃんもこんなに苦しそう」
 伝わってくるのは、激しい快感。どこで覚えたのか繊細な手付きで竿をしごかれ、
 口の端から唾液が出るのも気にせずに荒い呼吸を吐いた。

「だから、ね?」
 微笑むとしごくのを止めて腰を上げ、
「姉さん、待っ…」
「だぁめ、あはっ」
 笑い声と一緒に腰を下ろしてくる。
「どう、気持ち良いでしょ? 楽になるでしょ?」
 擦るように激しく腰を動かし、攻めたててくる。初めてではないとはいえ
 昨日に初体験をしたばかり、獰猛な刺激に耐えられずに射精感は簡単に昇り上がってくる。
 寧ろ姉さんも同じ筈なのに、何故こんなにも順応しているのかが不思議なくらいだ。
 限界が近い。
「も、出そう」
「う、ん。中、に出し、て。今日、も大丈、夫、だ、から」
 出したくない、それどころか逃げだしたい。なのに体はいうことを聞かずに
 どんどん快楽を与えてきて、姉さんも腰の動きの勢いを増す。
 軽音。
 何だろうか、今の音は。
 老化の方から聞こえてきた音に、心臓が高く跳ね上がる。
 まさか、誰か居る?
「姉さん、今」
「よ、そ見し、ちゃ、駄目」
 腰を大きく引き、締め付けを強くして一気に下ろしてきた。今まで以上に強い締め付けと
 長いストロークに、これまでで一番の快感が襲ってきた。心配が霞み、思考が白くなって
 姉さんとの繋がりに埋めつくされる。
「あた、しが見、張る、から、虎徹ちゃ、んはお、姉ちゃんだ、け、見てて」
「う、ん」
 姉さんが繋がったまま体を半回転させ、背中を向けた。そのせいで僕を包んでいた膣壁が
 大きくうねり、元に戻る勢いで強く擦りあげられる。
 僕に背を向けたまま姉さんは、今まで以上に激しく腰を動かしてきた。絶頂が近いのか
 中の壁が小さく痙攣をしていて、それのせいでヒダがより複雑にうごめいている。
 我慢をしていなければ、すぐにでも射精をしてしまいそいになる。
 姉さんは僕が必死に耐えているのが面白いのか、快感のせいでハイになっているのか、
 小さな笑い声を出して腰を振っている。
 我慢をすればする程により淫靡に動き、悪循環に陥った。
 もう、限界だ。
「出、る」
「あはっ、中に、出、して」
 姉さんが一際大きく腰を動かし、
 中に、出してしまった。


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