優柔 previous 第5話
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お母さんとゆう君が一緒にご飯を食べている、ただそれだけのことなのに・・・どうして嫉妬してるの?
おかしいよ、こんなの。
お母さんはお母さんで、ゆう君から見たら彼女の母親ってだけなのに。
私はただ義理の親子みたいに思えばいいのに。
仲良くしてくれたほうが付き合う上ではいいことなのになんで・・・

「ほら、優希ちゃん。口の周りが汚れてるわよ?」
お母さんがゆう君を「優希ちゃん」て呼んで口の周りを拭いてあげた・・・ゆう君は恥ずかしそうに笑ってる・・・

・・・その瞬間、私の中で何かが壊れたような気がした。

 

何よゆう君、恋人の母にあんなにデレデレしちゃっていやらしい。
子供扱いされてるんだよ分かってるの?
・・・本当は嫌なんでしょ?
嫌なのに相手を傷つけたくないから拒絶できないんでしょ?
駄目だよゆう君そういうのが一番危ないよ?
そうやって分け隔てなく優しくするから勘違いする人が出てくるんだよ?
毎朝ゆう君の背中を叩いてく浅田っていう人も私と付き合ってるってこと知らなくて
ゆう君を合コンに誘おうとした井上さんも全部ゆう君の優しさをはき違えた可哀想な人達なんだよ?
気付いてないかも知れないけどゆう君って可愛い顔してて母性本能をくすぐるタイプなんだよ?
しかも性格が良いからちょっと優しくすると誰にでも好かれたりするんだよ?
気付いてないの気付いてないよね?
ゆう君ってそういうところだけ天然だよね?
それって一番タチが悪いよホントにもう分かってる?
それが計算だったらショックで寝込んじゃいそうだよ?
それからね普段はおとなしくて引っ込み思案なくせしてエッチの時はあんなに大胆なことしてるのに
何で学校にいる時は「愛してるよ」って言ってくれないんだろうね?
恥ずかしがってるのか知らないけどそれって失礼じゃないかな?
ゆう君初めてした時中に出したよね?
止めてって言ったのにあの日危険日だったんだよ?
ホントに危なかったんだからね?
そのせいか分からないけどそれからはすごく優しくしてくれてるんだけどちょっとやりすぎだよ?
あんなアブノーマルな愛し方されてるから私すごくエッチな体になっちゃったんだよ?
ゆう君私のお尻の穴舐めるよねあれ今じゃもうすごく気持ち良くて堪らないんだよ?
分かるゆう君私もう変態さんになっちゃったんだよ?
ゆう君のせいでお嫁に行けない体にされちゃったんだよ?
これでもゆう君他の女と仲良くするからそろそろ我慢の限界に来てるの分からないのかな?
もしこれで他の女に姦通とかしたらゆう君殺して私も死ぬからね?
何回も何回も刺しまくって気が済むまで続けるからね?
ああでも私お母さんからちゃんと教育されてるから人殺しなんてできないんだよ?
だから私以外に目移りしたとか冗談でも言わないでね?
ああこれからはちゃんとゆう君を教育しなきゃ自分のことに無知だなんて一番ダメだよ?
ああ明日から頑張ろうっと。
ゆう君にまとわりつくごろつきを1つ1つ駆除していかなくちゃ

「あら椿、起きたの?」
「優希ちゃん、もう帰っちゃったわよ?後で電話しておきなさいね」
「ご飯作り直すからちょっと待っててね」
「それにしても・・・椿も隅におけないわねえ」
「あんなにいい子と付き合ってるなんて、ちょっと羨ましいわよ」
「優希ちゃん、また家に連れてきなさいね。今度はもっと豪華なもの作っておくから」
「それと、彼氏を独りにしておいたらダメよ?」
「ママが手を出すかもしれないから」
「ジョークよジョーク、そんな恐い顔しないの」

・・・奥歯が痛いよ、ずっと噛み締めてたから。
分かってる。お母さんのこと大好きだから、はらわたが煮え繰り返るようになっても
絶対に怒ったりしちゃ駄目。
今度からはお母さんにゆう君を合わせないようにしよう。それが一番、良いから。

昨日はね、自分がこんな嫉妬深いなんて思わなかったけど、よく考えてみたらこれって
素敵なことなんじゃないのかな?
だってそれだけゆう君のことを愛してるってことなんだもん。
おはようゆう君。今日から私、ゆう君のために頑張るね。
「おはよ〜ゆうき〜」
ほら、来た。
こういうのは、放っておくといつまでも付きまとうタイプだから私が対処するね。
私はゆう君の後ろに立って、背中を叩かせないようにした。
「初めまして。私、ゆう君の彼女の水谷って言います」
「えっ、ゆうきってこの子と付き合ってたの?」
・・・そういえばゆう君、私と付き合ってることみんなに内緒にしてたみたいだね。
「そういうわけだから、浅田さんだっけ?ゆう君に触らないで欲しいんだけど駄目かな?」
私はできるだけ穏やかな口調で言った。
本当は

「私のゆう君に触るな!!!!!メス豚!!!!!!!!!!!」

って言いたいんだけど、流石にそれは酷すぎるからね。
「うん、分かった。ごめんな、気付かなくて。ていうかゆうき、お前彼女ができたんならそう言えよ?」
「う、うん。ごめんね」

あの人、ゆう君に気があったわけじゃないんだ・・・ちょっと安心。
でもゆう君、自分の彼女でもない人に下の名前で呼ばせるの、良くないと思うよ。
私はゆう君の手を握った。
するとゆう君、
「つ、椿ちゃん、さすがにみんなのいる前で手を繋ぐのは恥ずかしいからやめてよ・・・」
って言ったの。
・・・なんで私と手を繋ぐのが嫌なのかな?
おかしいよね?昨日帰り道で手を握ってくれたのに、ベッドの上ではあんなに私のこと愛してくれるのに
手を握るのは嫌がるなんて。
だから私、ちょっとムカってきて
「いたっ!椿ちゃん!?」
強く握りすぎちゃった。
ごめんねゆう君。でもね、私と付き合ってるんだからもっとそれらしくしてよ。
そうすれば他の女子に声掛けられるのも少なくなるんだから。

嫉妬なんてね、ただの愛情表現の1つなの。
だから私、もっと嫉妬するね?
ゆう君に話し掛けてくる女には敵意を向けるね。
もちろん、他の女のことを気にするゆう君にも、お仕置きするね?
まさか、嫌がったりしないよね?
だって私は・・・ゆう君を愛してるから・・・何をしてもいいの。


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