優柔 previous 第2話
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原因は勿論、優希にある。
気づかないうちに、椿の秘めたる嫉妬心と独占欲を引き出してしまったのだ。
具体的に何が原因だったかというと、それは優希のセックスのやり方である。
この男子は、ある意味での『変態』だったのだ。

別にスカトロ趣味があるとか、極度のサディストだったとか、そのようなものではない。
お姉さんとの一件から、奉仕することの悦びに目覚めただけである。
初期段階においては、大した知識も経験もなかったので、ただの前戯だった。
だが身体を重ねるごとに、優希のテクニックは向上していった。
やがて指だけで椿をイかせることができるまでになった。
そしてここから、優希の『変態』が目を覚ました。

この男子にとっては「奉仕してやってる」のではなく「奉仕させてもらっている」なのだ。
椿を一つ上の存在と位置付け、無意識的に自分の立場を下げる。
そうすることによって、普通の青少年なら抵抗を感じてしまうような奉仕を難なくこなせてしまう。
事実、奉仕の悦びを覚えた優希は、何の迷いもなくスカートの中に顔を突っ込み、秘部を舐め上げる。
やがてアナルにまで奉仕の対象を向けるようになった。
全国の男子学生で彼女のアナルに奉仕する人は一体何人いるのだろうか。
おそらく、数える程もいないと思う。これが、優希が変態であることの所以なのである。
だが今説明したことは、ほんの一部にすぎない。
これだけならば、単に過度な奉仕好きなだけで終わり、椿の開花とは結び付かない。
重要なのは、さらに2つの要因なのである。

優希の奉仕は、椿にとって恥辱だった。
ほんの1ヵ月前まで穢れを知らなかった彼女にとって、平気で股間に顔を埋めてくる恋人の行動は、
理解出来ないものであった。
汚らわしい行為をさせているという罪悪感もあり、やめてほしいと願い出た。
しかし優希は、

「椿ちゃんを愛してるから・・・だからもっと、椿ちゃんを気持ち良くしてあげたいんだ・・・」

と言い、奉仕を止めようとしなかった。
さすがの椿も、うるんだ瞳で幸せそうに請う優希を見ていると、断ることができなかった。
それどころか、これほどまでに自分を想ってくれているのだと実感し、優希の奉仕を望むようになった。

それがいけなかった。
この後、優希の行為はエスカレートする。
最初は単なるクンニリングスやペッティングで納まっていたのが、日に日に過激なものなった。
ある時は椿をまんぐり返しにし、手マン、もしくはクンニリングスを行ったり、またある時は椿を
四つんばいにし、アナルを舐めながら、
片方の手で陰部を、もう片方の手で乳首を擦り続けたりもした。
このように、どう見ても一男子生徒とは思えないような淫行で椿を何度も絶頂に至らしめた。
さらには、奉仕中に尿意を催した椿を浴室に連れて行き、膝に乗せて陰部を擦り続け、
強制的に放尿させたこともあった。
さすがにその時は、お漏らしという一般の人間にとっては最も恥ずべき行為の1つをしたことによって、
恥ずかしさと、恋人に幻滅されるのではないかという恐怖感で泣いてしまった。
しかし優希は、歓喜の表情を浮かべながら、もっと恥ずかしい姿を曝け出してほしいと言ったのだ。

椿は、優希の奉仕に、かつて味わったことがないような幸福感と快感を得るようになる。
そして、そのような愛し方をされているうちに、優希への思慕が異常なまでに募っていった。
あられもない姿、自分では恥辱以外の何者でもなく、人として見られてはいけない姿を晒しても、
優希がそれを受け入れてくれるからだ。
これが1つ目の原因である。そしてもう1つ、椿が変貌を遂げる原因を述べる。

この男子は、相手が絶頂を迎える時の表情に、何よりも性的興奮を覚える。
簡単に言えば、相手のイった顔を見るのが好きなのだ。
そのために、1度のセックスで椿を何度も果てさてる。
幾度となく迫り来る快楽に耐え切れなくなり、正気を保てなくなっても、指や舌で弄んだ。
しかし、ただ奉仕をするだけではなかった。
優希は、事が終わるまでずっと、愛を囁き続けるのだ。
これがいけなかった。
ただ「愛してる」と言われるより、快楽を与えられ、朦朧とした意識の中での「愛してる」は、
椿の深層心理により深く刻まれていった。
呪文のように囁き、まるでマインドコントロールのように刷り込んでいくことで、
椿は異常なまでの愛を体感した。
最終的には、快感を得ると(それが自慰であっても)優希に愛されていると自動的に思うようになり、
逆に、優希に愛を囁かれるだけで、感じてしまうようになった。
つまり、優希無しでは生きていけないようにされてしまったのである。

断っておくが、優希は意図して椿を開発したのではない。
ただ椿を想い、愛したからこそであって、彼にとってはごく普通の行為でしかなかった。
これこそがこの男子の恐ろしい所である。自身の気付かないところ、すなわち無意識下で、
恋人を私物化してしまったのだから。
しかし、たった今述べたように、優希は自分の所業に気付いていなかった。
よって、椿が嫉妬深く、独占欲に満ちても、どうしてそうなったのか分からなかった。
それは奇しくも、丁度『優希君』から『ゆう君』に呼称を変えた時期だった。

椿にとって、優希の他人への優しさは、すでに耐えられるものではなくなっていた。
優希が愛しているのは自分だけ、そのような自負があったから。
優希の優しさが何よりも心地よい椿は、誰にも渡したくなかった。
そして、これほど自分を愛しているにも関わらず、他の女にも、自分と同じように接するのは
我慢ならなかった。
結果、自分以外の人間、とりわけ女性に対して、制御不可能なほどの嫉妬心を燃やすようになってしまった。


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