生きてここに… 本編 第25章
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「詩織さん!」
仁さん・・・・もう限界なのでしょ?身体が動かないのでしょ?
だからそこで待っててね、すぐに洗脳を解いてあげるから
雌犬の肩を抑えて投げ飛ばす
壁に激突させる
そのまま肩を狙って刃を向ける
「く!」
まるで楽器のように音が鳴った
ああ、快感・・・・幸せ・・・・・
もう少しで刃先が食い込む
「やめろーーーーー!!!!!」
床を伝って仁さんが私の足を掴む
まさかこんなに洗脳が進んでいたなんて
そう思った瞬間だった
光が私を照らした
と、同時に何人もの警官が私に向かって銃を向ける
なに・・・・?
もうお終いなの?
私は向かってくる警官を斬り付けてドアを開き駆ける

私の荒れた呼吸と私を追う足音が階段を登っていく
屋上に出た・・・・もう逃げ場はない
銃が私に向けられる
邪魔するの・・・・あなた達も私と仁さんとの間を・・・・
なら壊してやる!
「あぁぁぁぁ!!!!!!」
放たれる拳銃の弾を避けて警官を斬り刻んでいく
右肩に弾が食い込む
今度は右の胸に・・・・
次は脚に食い込んでいく
それでも私は警官を斬り刻む
ああ、怯えてる・・・・私がそんなに怖い?
思い知らせてあげる私と仁さんとの間を邪魔したことの罪深さを
「あ、はははは!思い知りなさい・・・・・・・・・うぐ!」
あれ・・・・脚が動かない
手も・・・・
力を失って刀が地面に落ちる
ああ・・・・・仁さん・・・・・私は・・・・・
あなたと二人だけの世界を・・・・・・

「詩織さん!」
急いで駆け寄る
詩織さんは少し顔を歪めたがすぐに笑んだ
「私のことより奈々ちゃんを・・・・・」
少し心配だったが俺は奈々さんの元に向かった
右の胸から血がどんどん流れていく
俺は必死で傷口を抑えたが血が止まらない
「仁・・・・ちゃん」
かすれた声が俺の耳に届いた
「しゃべらないで・・・・・いま警察の人が・・・・」
「最後に話・・・・させて・・・・仁ちゃん」
最後だなんて・・・・そんなこと言わないでくれよ


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