生きてここに… 本編 第24章
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ふふ・・・・・
私は確信していた
神は私に味方をしていると
だって・・・・・脱獄できるなんて思ってもみなかった
私は脱獄に成功すると予備で隠しておいた刀を持って仁さんの元に向かう
待てってね・・・・仁さん
すぐにあなたの元に行くから
でも、私は彼を傷つけてしまった
許してくれるよね?最初からそんな気はなかったのだし
それもこれもあの雌犬のせいだ
私は自分にそう言い聞かせると仁さんの屋敷の前まで足を進めた
高い塀を登って私は屋敷に侵入する
その先で私はあるものを見てしまった
腹のでかくなったあの二匹の雌犬が仁さんと楽しげに雑談している姿を
なに?あれ・・・・・
私はかつて感じたこともないような嫉妬をこの身に感じた
あの雌犬どもが・・・・・仁さんの子供を?
とうとう洗脳もそこまで進んでしまったの?
それももう一匹加わっている
私は唇を噛み締めた
唇から血が滴り口の中に血の味がひろがる
そうだ、まだ間に合う・・・・あの腹から汚れた子を取り出して息の根を止めればまだ
私は刀を鞘から抜くと静かに歩みを進めた

「仁さま!詩織さま!奈々さま!」
高田さんが慌てて部屋に入ってくる
どうしたのだろう?
俺が首をかしげると高田さんは青ざめた顔でこう言った
「羽津木香葉が脱獄・・・・したようです」
香葉・・・・・その名に俺は恐怖感を覚えた
確か俺をストーキングしていた女で・・・・
二人を見ると恐怖で身体を震わせていた
俺が強く自分をもたなくちゃな・・・・そうだ
「警察の方がこちらに向かっているとのことですが・・・・」
俺の中の見えない何かがこう告げている
その前に奴は来ると
それと同時にガラスの割れる大きな音がした
音の方向へ目線を向けると
そこには肌の半分を炎に焼かれたまさに悪魔という風貌の女性が立っていた
一瞬で体中が凍ったように固まる
だが・・・・・俺は負けない
二人を護るんだ・・・・・
俺が向かっていくと同時に高田さんが二人を逃がそうとする
よそ見をしているうちに刃先が横をかすめていく
よけれ・・・・た?
聞く話によると俺はボクシングをしていたらしい
記憶は失っても身体は覚えているらしい
しかし傷をつけた相手を思い出したかのように肩の傷が悲鳴をあげた
「ぐ・・・・・俺は・・・・こんなときに」

仁さんが肩を抑えて膝を付いた
やっぱり私の付けた傷がまだ治ってないの?
後で私がたっぷりと癒してあげるから待っていてね?
私は仁さんの横を通ると必死で逃げようとする二匹を追う
なに?邪魔ね・・・・
一人の歳を取った男性が私の前に立ちはだかる
でも私が軽く脚を斬っただけで倒れちゃった
倒れた男性を蹴飛ばして私は雌犬の一匹を捕まえた
「奈々ちゃん!」
そう呼ばれた雌犬が私を睨みつける
そんな目しちゃだめじゃない
雌犬は雌犬らしくしていなさい・・・・
私は刃先を雌犬のノド仏に向けた
「やめろ〜!!!!!」
仁さんが私にタックルしてくる
まだ洗脳が解けていないの?
私は怒りと嫉妬の念を込めて倒れざまに雌犬の胸に刃を突き立てた
「奈々さん―――――――!!!!!!」
まずは一匹・・・・
最後はもっとも憎きあの雌犬
「やめろ!」
脚にすがりつく仁さんのお腹を蹴って少し大人しくしてもらう
その光景を見て雌犬は私を睨み付けた
あなたは簡単には殺してあげないわよ


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