生きてここに… 本編 第15章
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「詩織・・・・奈々・・・・」
近くに居た警官が俺の縄を解く
そして肩を持ってその場から移動させる
「俺よりも・・・・詩織と奈々を・・・・・」
「だいじょうぶだ・・・・もう保護しているよ」
見ると二人の姿はもう悪魔の前にはなかった
少し先に俺に微笑みかける二人の姿があった
よかった・・・・
悪魔に目を向ける
あんたはどうして・・・・こんなこと
なにを・・・・やってるんだ?
「詩織、奈々!!!!」
俺は無意識のうちに詩織たちの居る方へ走っていた
すぐに詩織と奈々を両脇に抱えて出口に向かう
「速く逃げろ!!!!」
俺が叫ぶと辺りの人間もそれに気づいたようだ
狭い倉庫の中は一瞬で暴動が起こったかのように人が駆け抜けていく
俺は出口から出るとすぐに二人の頭を抑えて覆いかぶさった

仁さん・・・・私はどんなことをしたって
どんなに拒絶されても諦めたりしない
世界が二人を認めないのならこんな世界なんていらないわ
だから、二人だけになりましょう・・・・一つになりましょう?
そのためなら私はなんでもやってあげる
だいじょうぶ、あの雌犬たちは今度はちゃんと皮を剥いで殺してあげるから
安心して・・・・仁さん
私はポケットからライターを取り出すと火をつけて近くに置いてあった箱に投げつけた
ボン!爆発音のような音がした後に炎が回る
伝っていく火の道が次々に辺りの物を炎に包み爆発する
まずは手始め・・・・
もう少し・・・・もう少しで仁さんが私の物になったのに
でもまだ始まったばかり
さぁ、狂気の宴を楽しみましょう
仁さん・・・・そして雌犬さん・・・・・

倉庫から火花が散って爆発する
背中に火の子が飛んでくる
俺は泣き叫ぶ二人を必死で抱きしめた
く・・・・これはちょっときついな
しばらくして静けさが戻る
炎のパチパチという音以外しない
よかった・・・・・二人は・・・・・無事だよな?
安心が俺の意識を一瞬で飛ばした

仁くんがすごく痛そうな顔をしている
ごめんね、私たちのせいで・・・・
しばらくして仁くんが私と奈々ちゃんにもたれてきた
救急隊の人は命に別状ないと言って仁くんを連れて行った
警察の人は爆発し原型のなくなった倉庫を捜索している
だけど、死体はおろか痕跡すらなく彼女は忽然と姿を消していた
まるで最初からそこにいなかったかのように
まるで今までの出来事が夢だったかのように


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