the scene of pandemonium 第3回
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舐めて見ていた俺が悪ぅございました。
えぇ。パーティーつってもホテルのホールでも借りてやるんじゃないかと思ってたが………
まさか。別荘でやるだなんてな。しかもこんな馬鹿でかい。学校の体育館ぐらいあるぞ。
そのうえ皆ドレスにタキシード。はぁ…もろ普段着の俺は肩身が狭いよ……帰ろっかな。
「あ、俊太君!来てくれたんだね。」
おや、この声は紗那ちゃんか。
「来てくれたって、紗那ちゃんが招待した…ん………じゃん?」
振り向いてびっくり。紗那ちゃんはドレスアップしてた。スリットの入った、
大人の雰囲気ムンムンだ……半端なくかわいいな。
「ど、どう、なか?」
相変わらず吃りながら聞いてくる。
「あぁ…かわいいよ……」
「え、ほ、ほんと!?よかったーぁ。どれを着ようかなやんだんだぁ―。」
うあ。俺としたことが、素直に答えちまった。柄じゃないってのに。真っ赤な顔の紗那ちゃんに、
照れ隠しに聞く。
「俺…明らかに招かざる客だと思うんだが……完璧に浮いて居場所がないよ。」
実際、さっきから通り過ぎる人がジロジロ見ていく。
「うん、大丈夫!私がずっとそばにいてあげるから。」
「ああ、そりゃ助かるよ。」
知り合いが隣りにいるだけでだいぶ楽になる。しばらく他愛ない話をしながら、飲み食いして時間を潰す。
「ん?結構人増えたな。」
「あ、そろそろイベントが始まるよ。ビンゴ大会。」
…今時の小学校でもそんなことしないぜ。…出るのか?これ。
「わわ、はぐれそうだね……ね、ねぇ。俊太君…」
「ん?どうした?」
「あ、あのさぁ…はぐれないように…て、手、…」
「手?」
「手、繋が……」
「ほら!紗那!伯父様達が来たわよ!こっち来て挨拶なさい!」
紗那ちゃんがなにかいい終える前に、母親らしき人物が手を引っ張って奥へと連れて行ってしまった。
「ああ!お、おかぁさぁーん………」

 

なにかもがいていたが、抵抗虚しく行ってしまった。
……また一人か…手持ちぶさた。ってかまた注目の的になっちまうよ……
気持ちを落ち着けようと、飲み物を注ぎながら、ビンゴ大会にでも出ようかななんて考えていると…
「お隣り、よろしいですか?」
「は!?っとと…」
いきなり声をかけられてびっくり。ジュースをこぼしそうになった。振り向くと、同い年だろうか……。
これまたきれいな女性があらわれた。
「うふふ……」
こぼしそうに慌ててたのがおかしいのか、上品そうに手を口に当てて笑う…というより微笑む。
「私も、よろしくて?」
そう言ってコップを差し出す。注げって事か。はいはい…
七分目まで注ぐと、これまた両手で上品に飲む……これだから居づらいんだよなぁ、俺は。
『それではこれからビンゴ大会を始めます!御参加なさる方は、ビンゴの用紙を取りにおこしください。』
マイクでのアナウンスが流れる。どうしようかとチラチラ見ていると。
「ビンゴをなさるより、少しお話し致しません?」
「はぁ?…まぁ…いいけど。」
なんとなく。タダなんとなく彼女と話してみたかったので、頷いた。
「ふふ…じゃあ、外へ出ましょうか?」
言うやいなや、さっさと手を引いて外へでていく。…まったく、金持ちってのはせっかちだな。
スタスタと人気のない裏庭に連れてこられる。見掛けによらず強引だな。
「さて…」
止まったと思ったら、クルリと振り替える。
「あーーー!苦しかったぁ!!あんな場所、ほんっといずらいわよねぇ。」
「は?」
いきなり豹変した。
さっきまでの上品さはどこに?
「君も、居辛そうだったよね。だから連れ出したんだけどさ。」
「あ、あぁ…まぁ、確かに居辛いな。」
なんとか話を合わしていく。まだ豹変っぷりに追いついていけん。……二重人格か?
「私もさぁ、家柄がどうこうって言葉遣いだの行儀作法とかってほんっとめんどくさいのよねぇ。
あ、さっきのはたくさん人がいたから」
………よくしゃべるな


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