the scene of pandemonium 第2回
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「はぁ…嫌われちゃったかなぁ」
俊太君の所から逃げるように走ってきてしまい、後悔の溜め息をつく。
いっつも俊太君の前では上がってしまいます。
俊太君のことを気になり始めたのは、去年の学園祭です。
クラスの演劇で、俊太君が主役、私がヒロインをやって、その時の練習で本当に好きなってしまいました。
いつもは無気力だけど……やる時はやってくれます!
「よ、よし!」
友達から恋人へ。ランクアップ作戦です。今ごろは職員室に居るはずです。では、ファイト!





職員室の前。俊太君の声が聞こえます。まだ中に居ますね。ちゃんと…やれます!
ガララ
「おほ!紗那ちゃん。どったの?」
「う、あ、北斗さん…」
予想外でした。俊太君だけだと思ってたのに……
「あぁ、紗那ちゃん。届けといたよ。」
「うん、あ、ありがとう」
あぁ、ちゃん付けで呼んでもらえるなんて嬉しい…落ち着け、私!頑張れ、私!!
「あ、あの、これ、見て欲しいの。家で開けて。」
1枚の封筒。これが関係を進める切り札です!
「え?…何これ?」
「おいおい…これって…」
「あ、じゃ、じゃあしっり読んでね。」
ダメ。また緊張してきちゃった。もっと俊太君の顔を見ていたいけど、限界です。
考えとは逆に、体は走っていってしまいました。
はぁ…もっとお喋りしたいのに……もっと俊太君の事、知りたいなぁ……
恋人は…今のところいないわね。去年の学園祭からずっと登下校を見てきたけど、いっつも一人か、
北斗さんとだけしか一緒に居たことはないし。
アパートで一人暮らし。
9時まで見ているけど女性の影は無し。
……でも油断は禁物よね。これからまた俊太君の後をつけないと…

「あらら、いっちゃったよ。」
「ほら、やっぱりあわてんぼうだ。」
「だからそれわ…いや、いい。お前にいっても無駄か。それより、なんだそれ?
…は!そうか、ラブレターかぁー。いいなぁ、オイ。初々しいよなぁ。」
また変な妄想が始まったな。
「いや、茶封筒に入れたラブレターなんて聞いたことがない。ってか、紗那ちゃんが
俺にラブレターを書くわけないだろ。」
俺と紗那ちゃんじゃあ釣り合いが悪すぎる。
「はぁ…本気で言う辺り、紗那ちゃんも報われないなぁ……」
ぶつぶつ言う北斗をよそに、封筒を開ける。家でも学校でも同じだろうな。
中からは一枚の紙切れ……もとい、チケットがはいっていた。
『招待券』と書かれていた。
「招待券?なんの招待だ?」
「そういや、紗那ちゃんって、お金持ちの家のお嬢様なんだよな。そんな家の招待っていや、
どでかいパーティーかなんかだろ。」
パーティーねぇ……そんなのに俺を誘う理由なんてないだろ。
「…プリント届けたお礼か…さすがお金持ち。スケールが違うなぁ。」
ん?北斗のやつ、溜め息つきながら頭かかえてやがる。こいつ、頭痛持ちだったか?
まぁ、せっかくもらったわけだし、行ってみるか。パーティーつっても、そんな馬鹿でかいわけないだろう。
うんうん。息抜き息抜き


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