広き檻の中で mixture world mixture worldU12
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「あああ、動けん!!!」
イライラしていた。相変わらず体は不自由なままだ。頼みはしたが、やっぱり志穂は心配だ。
そんなことを考えていると……
「晋也さん……お待たせ。」
いつの間にやら側に春華が立っていた。
「うわ!お、おどろかすなよ。」
「ふふふ…そんなに驚かなくたっていいじゃないですか……それより、
ようやく楽しめる時間がきましたね……」
「あ、アハハ…ソウダネ…」
必死の苦笑いも虚しく、服脱ぎ始める春華。…その肌は白く、雪のような、という言葉がぴったりだった。
「…きれいだ…」
おもわず口に出してしまったが、本当にきれいだった。くびれた腰、程よい胸……まさかここまでだとは
思ってもいなかった。
「うふ、晋也さんったら、もう大きくしちゃって……そんなに我慢できなかったの?」
「うっ。」
情けない。体は動かないのに、一部はギンギンだった。
「ち、ちがっ…いや、違わなくもないが……」
何混乱してんだ?俺。
「大丈夫ですよ……初めてだから、間違いもあるかも知れませんが、絶対に気持ち良くしてあげます……」

「や、やめ!…うっ」
冷たい手で掴まれ、つい反応してしまう。ヒンヤリとして気持ち良かった。…本当にここだけは元気だ。
「うわ……すごい熱ですね……本当に熱いんだ…」
興味津津といったように見つめられる。嗚呼、そんなにじろじろ見られたら…俺は……
「うぅっく……あっ!」
絶え切れずに射精してしまった。堪っていた物が春華に降りかかる。
「う、うわ…熱い……」
「す、すまん…」
俺が謝る立場じゃないが……
「…じゃ、じゃあ、次はついに本番です。」
跨がり、某を秘部にあてがう……が
バンッ
勢いよくドアが開かれ、部屋が光で満たされる。そのドアの所には、志穂がいた。
「し、志穂!…よかった…無事だったか…」
だが、志穂は俺の声も聞こえてないのか、怒りを露にしたまま春華に歩み寄り、そして………
「ふざけるんじゃないわよ!!」
パンッ
乾いたような破裂音が、部屋に響く。
「あんたねぇ、あんな卑怯な真似してまで……そこまで私の晋也が欲しいっていうの?」
「私の?……勝手に、勝手に晋也さんを自分のものにしないでくださいよ!晋也さんは、私のです!」

……物扱いってのも虚しいなぁ。
「駄目!本当に……本当に死ぬ思いまでして晋也と愛し合えたんだから……もう二度とそんな事で
苦しみたくないのよ……」
「あなたなんて、この前晋也さんと会ったばっかりじゃないですか!私と、晋也さんの思い出に
割り込まないでください!」
「私達はもっと前から……あなたのいない世界で愛し合ったのよ…あなたこそ、私達に入り込む事なんて
出来ないのよ!」
互いにヒートアップしていき、顔が近付きあう。まずい、このままじゃあ、取っ組み合いになることも……
「ふ、二人とも落ち着いて……」
「あなたのために言ってるのよ?……そうね、この場ではっきりと言ってあげて、
私とこいつとの違いを!」
「晋也さん……私を、選んでくれますよね?」
………参った。だが、こういう時は正直に言わないと後悔すると言うのが、前世からの教えだ。
「……俺が好きなのは……志穂で……春華は…その、後輩としか見れない……」
「ほら、言ったとおりでしょ?」
「そんな……嘘、ウソよ!いやぁ!晋也さんに……裏切られた……認めない、こんなの認めない!!」
そう叫ぶと部屋から走り出してしまった。

「!!」
急に体が動くようになった。志穂が側に居るだけで、これだけ違うものなのか。
でも今はやらなくちゃいけないことがある。
春華を追いかけないと……
「な、なにをそんなに急いで着替えて……」
「あいつを…春華のやつをおわねぇといかん。」
「!?……ま、まだそんなこといってるの?いいじゃない、それより、これから三日間居なかった分、
愛し合いましょう?ね?そうしよう?」
焦燥感のある顔で迫る志穂。
「ああ、そうしたいのは山々だが、春華へのけじめもしっかりつけなくちゃいけないんだよ。」
そう言って掴まれた手をはなそうとするが、更に強くつかまれる。
「駄目!いかないで!今いったら…もう戻ってこない気がするの……だから、だから!あの女に、
優しさなんて向けないで!私だけにして!」
「そうもいかないんだ。人生、±ゼロなんて簡単にいかないけど、ちょっとでも良い方にしたいからさ、
今は、行かないといけないんさ。」
再度腕を振り払い、走り出す。叫んで居た志穂に対し、少しだけ心を鬼にして………


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