広き檻の中で mixture world mixture worldU7
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〈四月二十日〉
今日、入学して面白い先輩に出会った。なんとなく気を引かれたので、彼についてここで
書いていきたいと思います。
〈四月二十二日〉
今日は食堂で出会った。それだけで何故か嬉しくなった。先輩はただの水を、
『さっすが、この町の水は不純物満々だ!』と言っていた。
〈四月二十六日〉
今日は図書館でみかけた。片っ端から『帰宅部に入らないかい?』と声を掛けて居た。
偉人なのか異人なのか。よく分からない人だ。
〈五月一日〉
やった!!今日は先輩に勧誘してもらい、入部すると言ったら、快く遊んでくれた。一歩ぜんしーん!

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「……あいつと初めてあったきっかけってこんなんだったか?」
さらに読み進める。
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〈五月二日〉
今日のせんぱい。放課後にグランドへ行ったら、鬼山先生(仮名)とPK勝負をしていた。
わざと顔にぶつけるあたり、せんぱいらしい。ただ気になったのは、ギャラリーの女子。
せんぱいと同じクラスなのだろうか。
なんだか今日はムカムカします。
〈五月六日〉
今日のせんぱい。お昼に食堂へ行ったら、他の女子からクッキーを貰って食べていた。調理実習の奴だ。
せんぱいは、『昼飯代が浮いた!』と純に喜んでいた。微笑ましい。
けど、クッキーをあげた奴等は許せない。
〈五月八日〉
今日ここに私は宣言する。私はせんぱいが好きだ。一時の迷いでもない、憧れとしてでもない。
ただ純粋に好きだ。もっとせんぱいに見てもらいたいため、かわいくなろう!
〈五月十日〉
化粧やお洒落をした途端、クラスの男子に告白された。

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「おお、やっぱりそういうのもあるか!」
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どこか好きかと聞いたら、『見た目』と答えた。ふざけるな。誰があんたのために努力してるだなんて
言ったんだ。
全部せんぱいのため。せんぱいに見てもらえればいい。せんぱいだけ。それ以外は消えていい。

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ガンッ
キーボードに思いっきり頭を打ち付けた。な、何を考えてるんだ………
〜〜〜〜〜

〈五月十四日〉
せんぱい。嗚呼、こうやって打ち込むだけで幸せになれる。今日の英語の時間、
気付いたらノートが一面中『せんぱい』で埋まっていた。これは病気だろうか。
一応そのノートはお守りにして置いた。
〈五月二十日〉
どうもせんぱいに近付く女子が多い気がする。かわいそうに。せんぱいは優しいから誰にでも
接してくれてるのだ。特別なのは私だけだ。

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……確かにそこは否定できない。春華は学園で人一倍面倒を見ているつもりだ。
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〈六月一日〉
今日から夏服だ。私を見て照れてる先輩、かわいい。他の女のは目に毒だろうから、
いつも以上にせんぱいにくっついた。
〈六月八日〉

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この日だ。志穂に会ったのは………
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今日、のせんぱい。かきたくない。変なおんながあらわれた。いきなりせんぱいを犯した。
私のせんぱいを侵した。せんぱいをせんぱいを。
あのチビ女は本当に※したい。※したい。※したい。
その上※※※して、※※※※※※※さらに※し※※※※(検閲)
〈六月九日〉
この文章は削除されました。
〈六月十二日〉
朗報。明日からあの女がいなくなる。チャンスだ。みてろ。帰ってたら居場所が無い様にしてやる。
いや、飛行機が墜ちてくれればそれでいいのだが。
他力本願はイケない。みてろ。せんぱいは私のだ。私×せんぱい。私×せんぱい。私×せんぱい。
(以下、十行にわたって同文………


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