広き檻の中で mixture world mixture worldU10
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「おおおおぁぁぁぁばやたわまらがわ(←言葉にならない叫び)」
なんなんだ、このダルさ。昼寝したら更に増してしまったではないか。
こんな日は学校に来るべきじゃねぇ。かえんべ。
……春華が来るとかいってたけど……まぁいいや。考える気力も沸かん。トボトボと教室の前を通って帰る。
帰路がやたらと長く感じる。日差しも暑くなってきた。いかん、完全に逝っちゃってるな。俺の体。
まぢ、死にそう。
……志穂への想いが薄れてるだって?勘弁。それはない……はずだ。それとも、
修学旅行で離れてるからか?
「人肌恋しいとはこのこと、がはっ!!」
背中に強打。ライナー級のボールが直撃したぐらい痛い。ましてやこんな弱ったとこに食らったとなれば
大打撃だ。
ふらつき、倒れる。助けを呼ぼうにも、周りには誰もいない。……まぢ、ピンチ。
「くっ、この笹原晋也。腐っても武士の端くれ!これ以上背中に傷を負ってたまるか!」
必死に振り向く。俺を襲撃した人物、それは……
「ふふふ……だめじゃないですか、晋也さん。一人で帰ったら。私が看病してあげるって、いいましたよね?」
バットを手にした春華だった。

「ぐぁっ、つつ……看病する人間を殴り付けてどうすんだよ………」
「嘘だ……晋也さん、私に看病してもらいたくないんでしょう?一人で帰って鍵締めて、
居留守使うつもりだったんでしょ!?私を追い払うつもりだったんでしょ!?」
いや、この状態の春華には看病してほしくないわけで。なにもそこまでするつもりはないんだけど。
「だめ、絶対だめ……私が看病するの……精一杯……ずっと看護してあげるの……」
再度バットが振り上げられる。その一撃の痛みを感じた瞬間、意識は闇に消えた………












デジャブとは違うかもしれないが、似た光景だ。違うのは、壁が真っ暗な事、体が縛られていない事。
………とはいえ、そうとう弱っているのか、自力で立つのも困難のようだ。まだ頭がクラクラする。
「酷……だなぁ。」
このまま体力回復をはかるのは無理となるとやばい。『想いが薄れてる』せいだ。
「我慢ですよ、晋也。」
自分に言い聞かす。もうすぐ志穂が帰ってくる。そうすりゃ嫌でも助かるだろう。
………助かる?………志穂に助けてもらう資格なんてあるのか?

「だぁぁぁ!やめやめ、今はんなこと考える状況じゃねぇよ!」
と、静かに部屋のドアが開き、微かに光がはいる。だが、それだけでは自分が何処にいるのか
理解するのには難しい。
「晋也さん……具合はいかかですか?」
春華だった。普段着に着替え、何食わぬ顔で聞いてきた。
「んー……最悪、だな。」
「あは、それはいけませんねぇ。やっぱりしっかり看護しないと………」
そう言うと、ゆっくりと近付き、服を脱がされる。
「って待て!お前までなぜ服を脱ぐ!?」
「ふふふ…体を温めるには、裸で抱き合った方が効率いいんですよ?それ以上の事をすれば……もっと、
暖まりますよ?」
夏に何を言う。こちとら汗だくだくなんだよ。冷や汗も混ざってるが。
「ほら、抵抗しないで。私がいっぱい愛して、奉仕してあげますから……気持ちいいですよ?」
そのワードにはそそられるものがある。しかしっ。
「だが断る!!そう言う事は志穂にだけしてもらうと決めてあるんでね。貞操は守らんといけんのですよ。」
決まった……言ってやったぜ。それを聞いた春華は………ん?なんか体が小刻みに震えて……

「志穂、志穂、志穂って、そればっかり!なにがいいんですか、あの女の!?
胸も小さい、態度はでかい、すぐに暴力振るう!
女の私から見ても最悪じゃないですか!?好きになる要素なんて一つも無い。私なら…私なら、晋也さんを大事に出来ますよ。優しくしてあげられます!!!」

「……違う、違う、違うんだよ!!それは万人が求める理想の性格かもしれん。
でもな、俺は変わり者だからああいうやつが良いんだよ。
言うだろ?蓼食う虫も好き好きって。それにな、あいつとは前世からの付き合いな訳よ。」
「……わからない……全然わかんない!……ふふふ、だったら……汚してやる……あの女を、
晋也さんがもうにどと見たくなくなるぐらい、汚してやる!!」
そう叫ぶと、一人部屋を出て行く。……汚す…汚す……って、それはまずい!!なんとか止めないと!
「動けよぉ!志穂のために動きたいっつってんだよぉ!!!」
無情かな。体は治らなかった。


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