結局その日は一日中屋敷を探し回ってもお嬢は見つからなかった。
ってゆうかこんな馬鹿広い屋敷で隠れんぼなんてしたら見つかるわけないっしょ。
そんで朝食のスタミナ料理は昼食に変更(まぁ俺は夜も食べたが)。里緒さんは全然食べられなかったが。
そりゃそうか。お嬢がいなくなるなんざ初めてだしなぁ。
〜夜〜
部屋で本(エロ本じゃないヨ!)を読んでいると、志穂がまたノックもしないで入ってきた。
「見ろ!ちゃんとした本だぞ!」
先手必勝。中身を堂々と見せつける。まぁ、『ノーパン健康法の極意』がちゃんとしてるかは別のお話。
「誰もそんなこときいてない。てかエロ本読んだら殺すわよ。」
ヒュウ〜〜。目にさっきこもっちゃったよ。俺の右手に嫉妬するなよナ。
「ふむ。では何用か?余は忙しいのである。早急に用件を申したもれ。
夜這いにきたのか?それなら大歓………」
「私、お風呂いいからあんた入っていいよ。」
もう少しこっちのノリに合わせてくれるとうれしいな。なんか一人舞台でハズカスィ。
「おいおい、風呂に入らんとは。臭くなるぞ。俺のタメにもアソコの清潔は……」
「股間が痛いの。」
「それをいっちゃあおしめえよ。」
どこかの風来坊のお得意なセリフを残して、服を持って出て行く。
てかそんなに痛みって残るのか?
そんなことを疑問に歩きながら、脱衣所に入る。とにかく脱衣所といい風呂場といい、でかい。
湯船だけで4×4Mってどうよ?
「〜〜♪〜♪」
鼻歌交じりで着替えていると………
「んまっ!!」
ななななんと、洋服入れの籠に、ぱぱ、ぱ、ぱんてぃ、なるものがあるではございませんか。しかもフリフリ付き。レアアイテムの発見だ。
「う〜む……」
つかう
わたす
→そうび
すてる
ピッ
しんやはぱんてぃをそうびできない!
嗚呼!やっぱり女性専用防具か!!
「………」
鏡に映る自分の姿を見て、恥ずかしくなった。素っ裸で何やってんだ?やっぱり引き際が肝心だね。
こんなんで風邪引いたら末代までの恥。
恥ずかしさに身を打ち震わしながら風呂場にはいるのだった。
「ん?…やたらと湯気が多いな……視界不良であります。」
見れば換気扇が回っていなかった。この風呂場は風通りが悪いので、すぐに湯気がいっぱいになってしまう。
カチッ。
換気扇のスイッチを入れると、たちまち湯気が消えていく。
「さて、入ろうかね。」
冷えた体を温めようと、湯船へ向かっていく。もう1メートル先というところまできたその時………
「!!!」
湯気が晴れて初めて気付いた。なんと湯船には先客が居たのだ!!ヴィィーーー
ドライヤーだった。
しっかりと肩まで浸かってやがる。
「な、なんてベタな。」
もうちょっとで感電するところだった。
ザプ
「ひょうっ!!」
お湯が足下まで溢れてきたため、後ろに飛び下がる。危うくビリリとくるところだった。
「感電で死ぬなんて堪忍だ!!」
直ぐさまコンセントを引っこ抜く。これで大丈夫だろう。
「………やっぱ心配だべ。」
結局びびったためシャワーだけですました。ひどく気分を害しましたよ。ええ。
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風呂から上がり、部屋に戻る途中で考える。あのドライヤーを仕掛けた人物だ。
きっと斧の時と同じだろうなぁ。
「バーロォ…………ジッチャンの名にかけて!!」
名探偵の口癖を言ってみても俺のおつむは変わらなかった。
お嬢………里緒さん………志穂……そして無意識の俺、すなわちぺ……
「いやいや、ないない。」
自分につっこみ。