危険な男 第3回
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 最近、少し困ったことがある。実質的な問題はなにもない。
 気にするなと言われて気にすることをやめれたら何の問題も無い程度の小さな問題だけど。
 ここのところ同じクラスの女の子に睨まれ続けられている。
 最初は気のせいぐらいに思っていたが教室を出るときもずっとついてくる。
 さすがにトイレの中までつけてくるってことはないけど――
 名前を知っている。少し話したことがある。同じクラス。
 その程度、友人というよりただの顔見知りってレベルの関係。
 聖人君子として育ってきた訳ではないが特別人から恨まれるようなことをした覚えもない。
 もちろん彼女に何かした覚えもない。した事といえば消しゴム拾ってもらってり
 ノート貸して上げたりしたぐらいの極々日常的な行動のみ、何をどうやったら恨まれるのかわからない。
 尚現在、自分は図書館で本を読んでいるが今斜め後ろに彼女がいる。
 自分の背中に目はついていないが、きっと彼女は本を広げていてはいても
 目はこっちに向いているのに違いない。
 ついさっき食堂で相席を頼まれた時何か言われるのかなと思ったが彼女は何も言ってこなかった。
 だから自分も彼女を無視し目の前の友人と話し込んだ。
 ひょっとしたら自分が気にしすぎているだけなのかもしれない――でも気になる。
 ちゃんと話してみれば解決するようなものかもしれない。そう思い席を立ち後ろを向くと
 彼女は慌てて目線を本へと移していた。
 「何読んでいるの?」とかさりげない会話から始めてみよう。
 そう思い彼女の隣に立ち話しかけ始めた所で彼女は急に立ち上がり小走りで図書館を出て行った。
 追いかけちゃ――マズイかな?

 一人悶々と悩んでいた帰り道で、都合よく中学時代からの友達と合流した。
 自分一人で考えていても解決できそうにない。そこで彼女に昼一緒に食堂にいた
 女の子から嫌われていると相談してみた。
 そうすると彼女は笑いながら「その子と遊びに行ったら解決すると思うよ」
 と言って僕の背中を強く叩いた。
 遊びに行く?
 でも何か嫌われているっぽいんですけど僕。


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