Which Do You Love? 第12話
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「はぁ……あんた、やってくれたな。それ、立派な偽造行為なんじゃねぇの?」
「何を言われようと構いません。あなたが犯した罪とくらべればちっぽけなものですから。」
よくまぁ口が回りやがる。とりあえず……いまはその場しのぎだ。
「かせよ。」
そう言って奏でから偽造紙を奪うようにぶんどる。
こんな事をしても意味が無いと分かってはいたが、気が済まない。
ビリビリ……
何度も細かく破り、結婚なんかの意思がないことを教えてやる。
「あら……それを作るの、結構なお金がかかってるんですよ?」
「ふん……桐原グループからすればそんなの痛くも痒くもないだろ。そんなことだったら、
あんたの姉さんの記憶でも戻してみたらどうだ?」
今の一言で奏の顔色が変わるのがわかった。大人びたふりをしていても、
やはり子供であることには変わりはない。感情を面に出すのを抑えられないのだ。
「姉さんだなんて……気安く呼ばないで!」
自分の気持ちを落ち着かせようとしているのか、一度深呼吸をしたあと、
またいつもの無表情な顔に戻る。いつ見てもこの顔はいやな感覚だ。
「でもまあ、あなたが姉さんにしたことを麻子さんが知ったら、きっとあなたのことを
軽蔑するでしょうね。」
「……好きにしな…もう、麻子とは…もどれないさ…。」
何故か、心がイタイ。なんでだろう。

土曜日。私はいつも喫茶店に向かった。……正直心も体もぼろぼろ。
まともに聖に顔を見せられない。ドアを開け、いつもの席へ。マスターも少し驚いた顔してる。
でも、席には聖は居なくて……何故か……何故か…
「なんで…いるのよ……」
あの女…奏がいた。
「ふふふ…そんな状態でもここに来るなんて、よっぽど聖さんに会いたいのかしら?」
「ウルサイ!なんであんたがここに居るのよ!ここにまで……私と聖の、二人だけの場所でさえ、
あなたは奪うっていうの!?」
「あら?喫茶店はみんなが使うものでしょ?」
「くっ…」
この女、ぬけぬけと…!
「それより、今日はあなたに話があってここに来ました…。」
「私にはない!帰って!聖が…来るのを待たなくちゃいけないんだから……」
「あはは……聖さんは来ませんよ。あなたは、負けたんですから。彼に会う権利なんてありません。」
「う、嘘よ……聖は来るわ。絶対に来るわ!」
こない筈が無い。いままで毎週来てたんだから…。
「それじゃあ、その大切な聖さんが来る前に、彼について、話しておきたい事があります。」
「聖の……こと?」
「ええ…あの方の過去を……。私の姉さんに犯した罪を、教えてあげますわ。
それでも、彼を好きだと言えますかね?ふふふ……」
聖の過去、罪……それに興味引かれて、私は奏と同じテーブルに座った…


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