Pipipipipipipi………
カチッ
「んん〜…あぁー。」
月曜日 朝
いつものように目覚める。全く清々しい朝だ。
違うのは……
「ん……」
……こいつが隣りにいることか。
起こさないようにそっとベッドから出る。朝飯の時間だ。
「そうだな…モヤシ炒めでいいかな。」
Withソーセージって辺りだな。
フライパンに油を敷き、炒め始めたところで……
「聖?…ひじりぃ……」
半泣きの声で名前を呼ばれる。ふぅ……
「はいはい。ここに居るよ。」
寝室に顔を出す。俺を見た途端、テテテと寄って抱き付いてくる。
「あぶね!!フライパンがあるんだよ!」
「起きる時は一緒に起こしてって言ってるでしょ!!心配なんだから!!」
「あぁ…ワリィ。」
泊まる度にこれだから困ったもんだ…
・
・
・
学校
いつもの朝。だけどテンションは違う。それは…
「お見合い……どうすんのよ…」
「頼むからさ、学校行ったらそれ、内緒な?」
冷やかしのネタになるだけだ。人様の注目の的になるのは勘弁だ。
「あ〜ら聖さん。お見合いしたんですって?」
「ぐっ!」
その声は…タカビ
「うっさい。望は黙っとれい。」
「!!!」
「あらあら。いきなり失礼な挨拶ですわね。」
声がでかいんだよお前は……ん?
「どーした?麻子。なに固まってんだ?」
「ん…ううん。な、なんでもない。ない。」
どもってそれはないだろと突っ込みたかったが、深入りは禁物。今日の麻子は機嫌が悪そうだ。
土曜日
私は一人喫茶店にいた。聖が来ないなんてわかってる。でも家に居たくなかった。
嫌な事ばかり考えてしまいそうで………
「はぁ。」
はは、ダメだ。いつでもどこでもアイツの顔が浮かんでしまう。
今頃他の女の子と楽しく話して居るんだろうか。
それともいつもみたいに無愛想でいるんだろうか?
私が知っている限りアイツが笑顔をむけるのは私以外にいないだろう。
嫌。嫌。嫌。
私以外に笑わないで欲しい。
私以外に心を開かないで欲しい。
・
・
・
驚いた。
いや、ショックだった。
「うっさい。望は黙っとれ。」
聖にとっては何気ない一言だったのだろう。
でも……今タカビのことを名前で呼んだ。初めて呼んだ。彼が変わってしまったのだろうか。不安だった。
私の知らないところでなにがあったのだろうか。
駄目。変わらないで。あなたを変えるのは私だけ。私の色だけに染まって欲しい。
もしそれが駄目なら…変わるのを止めるだけ………
「!!!」
「どーした?麻子。なに固まってんだ?」
「ん…ううん。な、なんでもない。ない。」
そうだ。止めてしまおう………
私の色に染めたまま………