絆 第4話
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「ふぁぁ〜もう朝か・・・」
弘樹は朝になって目を覚ました。
「なんか昨日のこと考えてたらなかなか眠れなかったんだよね・・・なんか顔合わせずらいな」
そんなことを呟きながらリビングへ向かう。
「おはようヒロ」
そこには朝食の準備をすまして座っている由紀の姿があった。
「あぁおはよう由紀姉。昨日は結構遅かったみたいだけど、どうしたの??」
「ちょっと仕事が溜まっててね」
「そうなんだ。ごめんね由紀姉は僕のために一生懸命働いてくれてるのに、
僕は由紀姉に何もできなくて・・・」
「そんなことは気にしなくていいのよ。私はヒロが元気にしていてくれれば
それだけで十分なんだから」
「ありがとう・・・由紀姉」
「やぁね朝からシリアスな雰囲気つくちゃって。ところで、昨日は楽しかった??
たしか彰君だったけ一緒にいったのは??」
「えっう・・・うん、そうそう彰だよ!!まぁ結構楽しかったかな」
(今更女の子と行ったなんて言えないよね・・・)
「そう、それはよかったわね」
(やっぱりまだ嘘をつくのねヒロ・・・)
二人は心に各々の思いを抱いていた。

そして朝食も終わり、弘樹は学校へと向かう。
「それじゃ行って来ます」
「行ってらっしゃい」

一方そのころ・・・。

沙耶花side

登校中の沙耶花。
「ふぅ〜どうしよう、昨日は勢いで名前で呼んで欲しいなんて言っちゃったけど・・・
これってすごい恥ずかしいことだよね///うわぁ〜なんか考えてたら余計に恥ずかしくなってきたよ〜
やっぱ言わなきゃよかったかもなんてちょっと後悔。でも、これで二人の距離は縮むこと
間違いなしだよね!!えへへへへっ」
周りから見たら多少危ない人にも見えなくもない沙耶花だった・・・。

視点は戻り。

弘樹side

「学校が近づくにつれてなんかドキドキしてきたな・・・こういうときは深呼吸深呼吸、
スゥーハァー」
「お前何してんだ??」
「うわぁ!?な、何だ彰か・・・びっくりさせないでよ」
「いや、お前が道のど真ん中で突っ立てるのがいけないんだろう」
「ま、まぁそれは確かに・・・」
「でだ、昨日はどうだった??」
「何が??」
「何がってお前・・・昨日は後藤と行って来たんだろう??」
「おかげさまでね」
「それでどうなったんだ??はっ!?まさか最後まで・・・」
「それはないから・・・ハァ〜彰と話してると本当に疲れる」
「そこまで言うことないだろ」
そんなやりとりをしている間に校門前に付いてしまった二人。

校門の前には沙耶花の姿があった。
「あっ」
声を上げる沙耶花。
「お、おはよう弘樹君」
そしてぎこちなく弘樹にあいさつをする。
「おはよう。さ、沙耶花」
「沙耶花!?」
その言葉を聴いて驚愕の声を上げる彰。

「まて弘樹」
「な、何だよ」
「まさかとは思っていたが、お前らもうそういった関係だったのか??」
「そういったってどんな関係だよ」
「そりゃお前ちちくり合う仲だろ」
「ちちくりって・・・お前いつの時代の人間だよ」
「そんなことはどうでもいい!!お前に聞いても話が進まないな」
そう言って沙耶花のもとへと近づく彰。そうして耳元で・・・。
「なぁ、さっきのは冗談として、実際のところはどうなんだ??
もう付き合ってたりするのかよ??」
「ううん、付き合ってはいないよ。ただ私のこと名前で呼んでってお願いしたの」
「そうか。でもこれで後一押しだぞ後藤。あいつはもうお前の手中にあると言っても過言じゃない!!」
「えっいや、私は別に・・・」
「ねぇ、二人ともさっきから何を話して・・・」
「ちょっと静かにしろ!!今後藤と大事な話中だ!!」
「は、はい・・・」
彰の威圧に負ける弘樹だった。
「後藤お前は本当にそれでいいのか??何を隠そうもうすぐ夏休み。それを一人で寂しく過ごすのか??」
「もう夏休みだったけ??」
「あぁ、そうだ。作者の季節に合わせるからな。もう夏休みでもおかしくない!!」
「あ、あの・・・作者って」
「細かいことは気にするな!!それでだ、今ならもうすぐで彼氏ができるとこまできているんだぞ。
このチャンスを逃すのか??いや、そんなことはお前にはできないはずだそうだろう??」
「確かにそんなような気も・・・」
彰に洗脳されつつある沙耶花。
「ならどうする、それは只一つ。すぐにでも告白しなさい」
「うん・・・って告白!?」
「今のお前なら、弘樹はすぐにでもOKを出す。俺を信じろ」
「でも私そんな勇気ないよ」
「今しなければきっと後で後悔するぞ」
そう言われ沙耶花は悩んだ。
(そうだよね後で後悔するなら、ダメでも今するしかないよね)
「わかったよ。彰君を信じるわけじゃないけど私頑張ってみるよ!!」
「そうだ!!途中気になる言葉が入っていたけどそこはあえて気にしないでおこう」
「あのですね、お二人とも・・・」
何故か敬語になりつつも話しかける弘樹。
「弘樹後少しだ!!もう少し待て!!・・・それでだな今日の放課後なんてどうだ??」
「それは早すぎじゃ・・・」
「いや、早いに越したことはない!!」
「なんか今日の彰君恐いよ・・・」
「友のためなら修羅にもなれる男がこの俺さ。ってことで今日の放課後に決定だ」
「私の意見は無視なのね・・・」
「セッティングは俺に任せとけよ!!後は後藤・・・お前次第だ」
「頑張ってはみるけど・・・」
「よし!!・・・話は終わったぞ弘樹。早く行こうぜ!!」
「もうかなり遅刻だけどね・・・」
「何!?」
「うそ!?」
彰と沙耶花は驚いた。
「何んでもっと早くに言わなかったんだよ!!」
「言おうとおもったけど、最後まで話させてくれなかったじゃんか!!」
言い争う二人に沙耶花が言う。
「そんなことはいいから早く早く!!ダッシュだよ」

こうして遅刻という代償を得て決意を固めた沙耶花だった。

 

そして時は過ぎ、放課後・・・。

「よし後藤勝負の放課後だ!!」
「うん。わかってるよ・・・」
「もうすぐ人がいなくなっるだろ??そこで俺が弘樹に残ってるように言うから、
そこにお前が入っていってそこでお前は告白するんだ。な、完璧だろ??」
「完璧かどうかはわからないけど、やってみるよ」
こうして二人が動き始めた。
「おい、弘樹〜」
「何だよ??」
「ちょっとこの後教室に残ってて欲しいんだどさ」
「え〜何でだよ」
「そこはほら、男同士の大事な話し合いってやつがあるんだよ」
「しょうがないな・・・」
「とりあえず先に職員室に呼ばれてるからさ、少しだけ待っててくれよ」
「早くしろよな」
「おう、わかってるよ」
そして教室に一人残る弘樹。

待つこと10分。
「彰のやつ遅いな・・・帰っちゃおうかな」
彰が来るのが遅いため帰ろうかと考えている弘樹。その時教室のドアが静かに開いた。

「遅いよあき・・・あれ沙耶花??」
弘樹の前に現れたのは彰ではなく沙耶花だった。
「どうしたのこんな時間に??」
「ちょっと用事があって・・・」
(よし、ここまでは彰君の計画通りにいった。問題はこの後だよね・・・
どうやって話を切り出そうかな・・・)
「そうなんだ。僕は彰を待ってるんだ。あいつ来るの遅くてさ、
もう帰っちゃおうかなっておもってるんだ。ハハ」
「あ、あの・・・帰らないんで欲しいんだけど」
「えっ!?」
「私が用事あるのは弘樹君になんだ」
「僕に用事??」
「うん。それで彰君に手伝ってもらって、弘樹君に残ってもらったの」
「そうなんだ。それはわかったけど、用事って何かな??」
「あ、あのね・・・わ、わたしね・・・」
その言葉を最後に沈黙が続く。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
そうして暫くして沙耶花が意を決したように言葉を放った。
「・・・ずっと弘樹君が好きでした!!私と付き合ってください!!」
「えっ!?」
急な告白にあせる弘樹。しかし弘樹の心はすでに決まっていた。
「僕でいいなら・・・よろこんで」
「嘘・・・夢見たいだよ・・・ウゥゥ」
弘樹の答えを聞いて、嬉しくて泣き出してしまう沙耶花だった。

こうしては付き合うことになった弘樹と沙耶花。しかし、これから二人に起こるであろう
出来事はまだ誰も知らなかった・・・。


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