絆 第2話
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「やばい!!もうこんな時間だ」

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン

授業始まりの予鈴が鳴った同時に弘樹は教室へと入っていった。
「ハァ〜ハァ〜…間に合った…」
「弘樹君オハヨッ♪今日はギリギリだったね」
「ご…後藤さん。お…おはよう…ハァハァ」
元気に挨拶をかわしてくれた彼女は、後藤沙耶花さん。
この学校で知り合った人で、結構仲がよかったりする。
「お疲れの様子だね弘樹君は」
「い…急いできたからね」
「そっかそっか♪早く席に着いたほうがいいよ」
「うん…そうするよ」
ガタガタッ!!   弘樹は自分の机の椅子を引き腰をおろした。
「ふぅ〜…」
その時横から声が掛かってきた。
「お疲れだな!!弘樹!!」
「あ〜彰か…」
「何だよその薄い反応…」
今話しかけたきた男は高瀬彰。こいつとも中学で知り合ったのだが、今は悪友だったりもする。
「それで何かよう??…彰」
「そうそう。弘樹コレいらないか??」
「何それ??」
「新しくできた遊園地の無料チケットだよ。明日の休みにでも行こうかとおもってたんだけど、
明日は用事ができちまって俺いけないからやるよ!!」
そう言って彰は僕に二枚のチケットを渡してきた。
「後藤でも誘って行ってこいよ」
「何で後藤さん??」
「何で…ってお前わからないのか??」
「だから何がだよ!!」
「あいつお前のこと絶対好きだぜ。好きじゃなくても好意みたいなものは抱いてるはずだ!!」
「はぁ??何言ってるんだよ」
僕にはその言葉を信じられなかった。あの後藤さんが僕を??そんなことあるなずがない。
彼女は学校でもかなり人気のある女の子だからだ。
「そんなことあるわけないだろ…」
彰は異性同士の好意などが勘でわかるらしい…。正直信じがたいが…。
「お前はそういうのに鈍感だからな。まぁ〜とりあえず誘ってみろって!!そしたらわかる」
(まぁ…誘うぐらいならいいかな)
「わかったよ。いちおう後藤さん誘ってみるよ」
「それでいいんだ!!」
彰は納得したように頷いた。

そして放課後。僕は後藤さんを誘うためチケット持って近付いた。

「あのさ…後藤さん」
「ん…あっ弘樹君!!何々??」
「明日って暇かな?」
「暇だけど…何かあるの??」
「彰から遊園地のチケット貰ったんだけど、よかったら一緒にいかないかなとおもって」
「え…私と??」
「嫌だったら別にいいよ。他の人誘うからさ…」
「嫌なんてことはないよ!!でも…そのそれって二人だけだよね??」
「あ…うん。そういうことになる…かな」
(なんか困ってるっぽいかな…誘うんじゃなかったかも)
「なら行く♪」
(弘樹君と二人だけの時間だ…嬉しいな///)
「えっ!?ホント…よかった。それじゃ明日十時に遊園地の門の前でいいかな??」
「うん!!それじゃまた明日ね」
後藤さんは足早に去っていった。
(明日弘樹君と遊園地か…緊張するな///。そうだ、明日は弘樹君に…言おう――)

帰り際に彰が僕のことを追いかけてきてこう言った。
「ほら!!言ったとおりだっただろう」
「何がだよ」
「後藤がお前のこと好きって話だよ!!」
「あんなんでわかるわけないだろ!!」
「お前本気で言ってんのか??」
「彰こそ何言ってるんだよ」
僕は彰の言ってることがよくわからなっかた。ただ遊園地に誘っただけで相手が自分のこと好きか
どうかなんてわかるわけがない。
「お前さ…好きでもないやつと二人でどっか出かけたりするとおもうか??」
「えっ……」
彰に言われて気づいた。
「そうだよな…男と二人なんだもんな。普通なら行かないよな…」
「そういうことだ!!弘樹〜明日は頑張れよ!!」
彰はそう言って自分の家に向かって歩いて行った。
僕は彰に言われたことが気になりながらも家路に着いた。

僕は家に着き玄関を開けた。

ガチャッ!!   

「ただいま由紀姉」
「おかえりヒロ!!」
帰ってくると由紀姉がもうご飯の準備をしていた。
「今日はヒロの好きなハンバーグよ!」
テーブルにはこんがりと焼けたハンバーグがお皿の上に乗っていった。
「おいしそうだね。みてたら余計お腹が空いてきたよ」
「それじゃあ、早く手を洗ってきなさい」
「うん。」

ジャァ〜!!  弘樹は洗面台で手を洗いながら思った。
(明日のこと由紀姉に話さなくちゃね…)

そして僕は席にもどり、由紀姉と一緒にご飯を食べた。
「由紀姉」
「何??ヒロ」
「明日なんだけど、僕友達と出かけてくるね」
「友達??」
「そうだよ!!遊園地に行くんだ」
「そう…それって…男?それとも…女?」
そう聞いてきたときの由紀姉の顔はとても恐く見えたような気がした…。
それを見た僕はなぜだか知らないけど…そう、なぜか知らないけど女の子と行くとは言えなかった…。
「男だよ男。彰っていう奴」
「ホント??」
「本当だよ。僕が由紀姉にうそついたことある??」
「そうね。なかったわね。」
この日僕は初めて由紀姉に嘘をついた…。


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