嫉妬妻・道明寺静子 第4回
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あなた。
今日は一緒に帰りませんか。
久しぶりに夕御飯を外で取りましょう。
美味しいお店がありますの。
ほほ、夫婦ですもの、たまにはデートいたしましょう。
結婚している男は、他の女と深い仲になっては問題ですけれども、
自分の奥さんと仲良くする分には、どれだけ深く愛し合っても誰も文句は言いませんわよ。
あら。
どういたしまして?
なにか、ぎくりとしたような。
ほほ、私の勘違いでございましたか。
あ、敷島、そこの角を曲がって。
駅前の歓楽街を通ったほうが近道なの。
お店はこんな騒がしい場所にはありませんから、安心してください。

あら。
あなた、どうしましたの? 何を見ていらっしゃるのですか?
まあ!
あれは、いわゆる……<そーぷらんど>という風俗のお店ではありませんこと?
あなたったら、そんなところに興味があったのですか!?
え、ちがう?
今、お店に入っていった女の人が、知っている人だった?
まあ。この間、同窓会で会ったばかり、ですか……。
今の時間帯でしたら、そこにお勤めなのでございましょうかねえ。
……最近は不景気でございますから、借金のかたに、身を売る女性も多いと思います。
この街の景気を建て直すためにも、あなたに早く道明寺の事業を継いでほしいですわ。
え。
……そうですか、あの方は、あなたの初恋の人でございましたか。
申しわけございません。軽々しいことばでした。
――お食事は、やめにいたしましょうか。
……あなた。
――敷島、この道を戻って。
先ほどのラブホテルに入りましょう。
失恋には、時間とセックスが一番の薬ですわ。
ふふ。
そんなお顔をしなくても――私は、あなたの過去の女に嫉妬することなどありませんわよ。
今のあなたの女は、正妻の私ひとり。
そうでございましょう?
でも、人間ですもの。終わった恋に傷つくこともありますわ。
今日は、私がたっぷりなぐさめてあげますわ。
私はあなたの妻ですもの。
あなたの好きなフェラチオもいくらでもしてさしあげますし、
あなたが望む限り何度でも欲望のはけ口になりますわ。
あ、このラブホテルなどがよろしいかしら。
看板に、なにか張り紙がしてありますわね。
「全室カラオケ完備! 秘密裏ビデオも貸し出し上映サービス中!」ですって……。
まあ、破廉恥な。
……でも、たまにはこういうのも、……よいかもしれませんわね。
一生一緒に暮らす男と女ですもの、堅苦しいだけではいられませんわ。
たまには夫婦で裏ビデオでも見ながら激しく交わって、
苦しい過去を全部断ち切るのも、よろしいでしょう。
まあ、『バツイチ妻中出し輪姦祭り』……ですって。
一番いやらしいタイトルですわね。
これを借りてお部屋に行きましょうか。
……今夜は二人っきりで、ゆっくり過ごしましょうね。
――敷島。お屋敷に帰っていいですわよ。
今日はこちらのホテルに泊まります。
明日の朝、迎えにきてちょうだい。


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