鏡 True 第3回
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涼に言いたい事を全て言い、部屋へ戻った。
あれじゃあ私が真奈を殺したと宣言したと同じだが、証拠は無い。涼も証明出来ないだろう。
自分の部屋に入り、机に座る。前には涼の写真。あと少しで全て自分の物になると思うとにやけずにはいられない。
だがまだ問題がある。アノ女が死ななかった事と、涼の気持ちが強い事だ。
もはや手段は選ばない。犯罪だろうと構わない。今すぐ真奈を殺しに行ってもいい。
だがそれだけでは駄目だ。涼の心を真奈から離さないと。

だがどうやって?




しばらく考えて、また一つ黒い物が浮かぶ。これしかない。周りから何と言われようが構わない。
世界には涼と私しかいないのだから。
早速明日行動を開始しよう。ベットに横になると、さっき涼とキスした事を思い出す。
「あ…」
じわりと下腹部がうずく。自分で胸を揉み、秘部を掻き回す。普段より興奮し、何倍もの快感が得られた。
だがもう指では物足りない。涼が欲しい。欲しい。欲しい。
「ウフフフ、もう直ぐだからね…涼。私達だけの生活が…始まるのよ。」

            Piririririri

翌日。携帯の着信音で目が覚める。発信元は涼だ。すぐに眠気が消え、電話に出る。
「もしもし?」
「ああ、真由。あの…な、真奈の意識が戻ったそうだ。」
「えっ?本当ですか?」
思ってたより意識回復が早く、予定が狂う。
「それで今から病院にいくんだが…一緒にいくか?」
はい、と即答したいところだが、言葉を飲む。
「えっと…色々と用意しないといけないんで、先に行っててください。」
「ん、わかった。」
電話を切った途端、心臓の鼓動が早くなる、まずい。まずい。まずい。
もし真奈が真実を話したら台無しになってしまう。そうなったらもう終わりだ。
最悪の事態を考えて、台所へむかい、包丁を取り出し、鞄にしまう。いざとなったら、皆でシネバイイ。
アノ女は地獄へ。私と涼は二人、永遠を過ごすのだ。
罪悪感も緊張も湧かない。あるのは本能のみ。理性は効かない。止める手立てはない。





病院で待っていたのは、うれしい出来ごとだった。真奈が事件当時の記憶を忘れていたのだ。
その駄目頭にいまは感謝する。今は少しいきながらえたことに喜んでいればいい。
涼と居られるのも今だけだから。
「涼さん。私杉田先生に話があるんでちょっと行ってきます。」
「何?杉田に?」
「えぇ、ですから姉さんのことはお願いします。じゃあね、姉さん。」
「うん。また来てね。」
そんな真奈の笑顔を後に病室を出た。やけに純粋で反吐が出る。病室に私の涼と二人っきりでいると思うと狂いそうになる。
だがその純粋さを汚す事が出来ると思うと嬉しくなる。
「さて、と…」
ふうと溜め息をついて辺りを見回す。するとちょうど良いタイミングで「駒」が見つかった。その「駒」に駆け寄る。
「あの…杉田先生。真奈のことで相談があるんですが…」


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