鏡 Ryo side 第5回
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いつものように屋上に出る。何だか空が曇ってきた。反面真奈は…
「はい!」
「お、おぉ。」
全力の笑顔。今は自然であり不自然に感じる。終始その笑顔のまま弁当を食べ終えるといつものように
「は・み・が・き」
抱き付かれながら上目遣いで言われる。男の性なのか。ふだん無欲な俺もドキリとする。
「ん、ふぅ」
キスをしながら真奈の腰に手を回す。なんだか普段より興奮しているのがわかる。
たっぷり一分近くキスをし、唇を離すが…
「ん、んん!」
真奈に再度キスされながら、全体重をかけられ押し倒される。
ガン!
「んぐ!」
とっさの事に、手で受け身をとれず、強く頭を打った。一瞬視界がぼやけ、耳に高鳴りが響く。
「ん、んんぅ、ふう、はぁ」
こっちが苦しんでいる事に構わず、真奈は口内に無理やり侵入する。
「んく、んく、んく、ぷぁ。はぁぁ。涼くん。唾飲んで。私の唾。んん。ぅう」
押し込むように大量の唾を流し込まれる。そうやって口を攻められたためか、頭がまともな思考しなくなる。
(真奈がホシイ)
そう本能が理性を破り、叫び出す。腰がむず痒さとともに熱くなる。
「あぁ、凄いよぉ。涼くん、興奮してる。私で興奮してる。」
「あぁ、真奈!!」
獣の様に混じり合う。sexは前に一度だけした。互いに初めてで、見本の様に初々しかった。
でもこのsexはそれとは違う。「愛」ではなく、「欲」を求める性交。「欲」=「愛」と勘違いをする。
前とは比べようのない快感を得る。
「ん、ん、んん、いい!イク、イ、イクゥゥゥゥ!!」
「くっ!」
オルガで体が震える。何の考えも無く、全てを膣へブチまける。何度も精の塊が流し込まれる。
「ハァ、ハァ、ハァ、ん、はぁ、あつぅい、よぉ……フフ、ハハハハ。したくなったら、いつでも言ってね。
どこででも何度でもやらしてあげるから。…ね?」
そのまま放課後まで、倒れ込んだまま過ぎていった。

帰り道。雨が降っていた。真奈が持って来ていなかったため、二人寄り添って俺の昨日置きっぱなしだっ傘で帰る。
「あーっと…体、大丈夫か?その……あんなに激しく…ヤッて」
「え…うん。なんともないよ。平気平気。」そう言って更に体を寄り添わせる。見ると顔が真っ赤になっている。
雨に濡れて冷静になったため、少し恥いているのだろう。会話に乏しいままYの字分岐に着く。
「あ、私今日バイトだからこっちだ。」
「ん、おぅ。そうか」
普段なら送っていくところだが、さっきの後のため、早く一人になりたかった。
「じゃあこの傘持ってけよ。俺は家まで近いから大丈夫だからさ。」
「う、うん。ありがとう。……じゃあ、また…」
「ん、またな。」
少ないやりとりを経て別れる。



「はぁーー。しっかし、今日の真奈はなんだったんだ?少し怖かったし。」
そう一人でぼやいていた。少し歩きだしながらうつむいていた刹那。
キキィィーーーーー!!!!!!ドン!!!
少し遠くから聞こえた急ブレーキに続く鈍い音。その音から考えられる可能性を思い描く。
「ははっ、まさか、な。」
言葉とは裏腹に、足は来た道を戻る。だんだんと早足に、そして走り出す。
先程のYの字分岐まで戻り、真奈の行った道を行く。
「ハァハァハァハァ。………はは、あっはははは。なんで……なんで……だょ。」
目の前の最悪の光景にタダ空笑いが漏れるだけだった。
道の真ん中に止まる白のワゴン車。
開いたままひしゃげた赤い傘。
俯せに倒れる一人の愛しい少女。その体からは赤い水が雨と共に流される。
「マナ!マナァ!!マナァァァァ!!!!!」
ただ少女に抱きつき、叫ぶしかなかった。認めたくない。夢を覚ますように叫ぶ。
だが無情にも降り注ぐ雨が激しさを増し、現実を押し当てられた………………

End 『Ryo Side』


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