鏡 Ryo side 第1回
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「お〜い!涼くーん!」
「ん…真奈か…」
名前を呼ばれ、振り向いた青年、坂巻 涼。目付きが悪いことと同じように、
性格も口も悪く、教師からの評価も悪い。
対してやって来た少女は森崎 真奈。 長めのポニーテールが特徴である。
涼とは幼馴染だったが、先月晴れて恋人になった。
「はい、お弁当!」
「あぁ、悪い」
高校の屋上で食べる二人。既に学校では二人の関係は広まっており、立ち入り禁止区域となっている。理由は…
「はい!タコさんウィンナー。あーん」
「……あーん」
見てのとおり、「典型的」甘さで、その場を占めているからだ。
恐らく「無愛想」「無礼」「無感情」の涼をここまで誘導できるのは彼女ぐらいだ。惚れた弱みと言うのだろう。



「ごちそうさん」
「エヘヘ、お粗末様でした。」
頬を赤らめながら弁当箱をしまう。だがまだ終わりではない。さらなるシュガーZONEへ。
「じゃあ次は歯磨きね。はい!」
そう言って目を瞑り、唇を突き出す真奈。
「ハァ…またやんのか?マジで勘弁してれ」
先ほどの破顔はどこへやら。一転して半べそをかく真奈。
「したく…ないんだ…ヒグッ……そうだ…よね……私なんかと……グス」

「…恥ずかしいだろ。お前も」
「私は涼くんとだったら何でもできるもん!そうなんだね、恥ずかしいんだね!
私みたいなのと付き合うのが恥ずかしいんだね!」
脈絡のない論点のすり変え。発作的なヒステリックは勘弁願いたい。
「わかったから…やりゃぁいいんだろ?」
ここでいくと、泣いたままクラスへ=学校のプリンセスが泣いている!=クラスの野次馬どもの責めたて=五月蠅い。
の式が成り立つ。よって折れる。
(保身のため保身のため……えぇい!ままよ!)
自分に言い聞かせながら一気に口付ける。
「ん…ぷは…ぇう……レロ…んんっ」
互いに舌を混ぜ合い、一分ほどのディープキス。これが彼等流「歯磨き」
「ぷはっ。…へへー、キレイキレイ」
そんなバカップルも裸足で逃げ出す行為をしてるまに昼休み終了。予鈴がなる。
さらに頬にキスをした後、遅刻しちゃう〜と叫びながら走る去る真奈。
「ぐおぉぉぁぁ〜」
片や全身の発疹に身悶える涼。そんな彼の午後は自主休講。


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